萌え絵・かわいいキャラクターの描き方

かわいい絵(萌え絵)の描き方について紹介します。

はじめに

「萌え絵」は対象となる絵柄の範囲が広く、時間とともに変化が大きいです。そのため、この記事では、描画方法以外のアプローチについても紹介します。

萌え絵とは

Wikipediaによると
日本の漫画様式で描かれた絵のデフォルメの一形式である。主に、男性読者を対象とし「二次元美少女」を描写することに非常に注力して描かれている。
顔の半分(口ほど)もある大きさの眼、点として表現された鼻、著しくデフォルメされた一定の特徴(#「萌え絵」の特徴を参照)を持つ傾向があるが、流行の移り変わりが激しく、主流といわれる絵柄は日々変化している。
とあり、定義も広く、絵柄の変化の激しいものであることが分かります。

自身の「萌え絵」「かわいいキャラクター」の定義

定義も広く、変化も激しいため、作者自身の「萌え絵」「かわいいキャラクター」を定義する必要があります。多くの場合、絵を描きたいと考えている描き手は、「こんな萌え絵を描きたい」というイメージはあると考えられますので、そのイメージをもとに萌え絵を定義します。
漫画やアニメーションキャラクターや、ゲームのキャラクター、または、特定の作家の描く絵などで具体的なイメージがある、場合は、そのキャラクターを自身の「萌え絵」「かわいいキャラクター」と定義します。
オリジナルで「萌え絵」「かわいいキャラクター」のイメージがある場合はそれがどういったものかを具体的なイメージや文言で決めます。

補足:ビジュアルだけに「萌え」ているのか?

よくある例として、描き手が「萌え絵」「かわいいキャラクター」と思われるものと同じ絵柄で描いたとしても、納得がいかないケースや、「萌え絵」ではない、かわいいくはない、と感じることがあるケースがあります。これは、キャラクターの外見だけではなく、キャラクターの性格や、しぐさ、物語を含めて「萌え」ている、「かわいい」と感じている可能性があります。本当にキャラクターの絵柄だけに惹かれているのか、もしくは、性格や物語まで含めて惹かれているのかを確認する必要があります。

よくある例

大好きな漫画「●●」があります。とても絵柄がかわいく好きです。特にヒロイン「△△」は萌えます。そこで、ヒロイン「△△」と同じ絵柄でオリジナルのイラストを描きました。絵柄は似ているのだけれど、なぜかあまりかわいいとは思えません。~
上記は、ヒロイン「△△」の絵柄だけに萌えていたのではなく、物語やセリフなどのしぐさも含めて惹かれていたのであり、絵柄だけを似せてもかわいいとは思えないという一例です。「萌え絵」とは絵柄だけのものなのか、キャラクターの性格や行動も含めたものであるかを再確認する必要があります。

大好きなイラストレター「※※※※」さんの絵柄はすごく魅力的です。そこで、「※※※※」さんの絵柄に似せてオリジナルのイラストを描きました。完成したものの絵柄は似ているのだけれど、なぜかあまりかわいいとは思えません。~
上記は、大好きなイラストレター「※※※※」さんの絵柄をまねたのは良いのですが、自分がどこに惹かれているかを明確にしなかったため、最も魅力的な部分をまねていなかったという例です。顔が魅力的だったと思い込み顔を似せて描けても、本当の魅力は細身の体と長い脚だったというパターンです。「※※※※」さんの絵柄のどこに惹かれていたのかをはっきりさせないと、このような状況になることが多々あります。
人間の心理として、ある部分に惹かれると、その顔までかわいいく見えてしまうという錯覚があります。特徴のない、どうということのない(場合によっては崩れているような)顔でも、感動的な物語や心を動かされるようなキャラクターの振る舞いにより、その顔が魅力的に見えてしまいます。

キャラクターのコンセプト決定

定義が決まったら、キャラクターについて、具体的な記述にまとめます。この作業はしなくても絵は描けますが、完成度に差が出てくるため実施たほうが良いです。特に第三者に説明する必要がある場合には必須です。
具体的な作業は、自身がキャラクターや絵に「萌え」「かわいいキャラクター」と感じるポイントを記述します。
外観に関するもの
  • 目が大きい
  • アヒル口
  • ロングヘアー
  • 黒髪
  • 大きなリボン
  • ツインテール
  • ニーソックス
  • 獣耳
  • アニメ/漫画の○○のキャラクター
  • 細い腰
  • 大きな胸
  • セーラー服
  • (言葉ではなく具体的な絵でもOK)
性格に関するもの
  • 普段は目立たず地味だけど、一途でまっすぐ
  • 眼鏡を外すと美少女
  • なんでも一生けんめい
  • 普段はつんつんしているけれど、お化けや暗いところがが苦手で、怖がりで臆病
  • おせっかいな幼馴染口うるさい
  • 好きなんだけど好きだと言えなくてもじもじ
  • いつも一緒にいるけど、好きだとは気づいていないところ
  • いつも明るいけど、ふと見せる暗い表情
  • 言いたいことは何でもずばずばいえる
設定に関するもの
  • 実は天使
  • 宇宙人
  • 未来から来た
  • 実はアンドロイド
  • 世界を守るために戦っている
  • 余命いくばくもない

いろいろありますが、一人のキャラクターについて、コンセプトを設定します。漫画やアニメの既存のキャラクターの場合は不要にも見えますが、そのキャラクターの何に萌えているのかを具体的に書きだしておくのは、後の絵の設計に役立つので既存のキャラクターの場合でも作業を実施しておくのは良いかと思われます。

現在の流行の調査

萌え絵の場合には、現在の流行にある程度沿っている必要があります。流行とかけ離れている場合、「古い絵柄」とみなされたり「萌え絵でない」とされてしまう場合があります。現在人気のアニメや漫画の絵柄を調べます。

参考:過去のヒロインキャラクター

過去の話題になったヒロインキャラクターを時系列順に並べてあります。(代表的なものを選んでいます)
年代ごとに、目の処理方法やあごの線などに違いがあることが分かります。2010年以降はあごがとがっている絵が減っています。目のハイライトの入れ方も年代が進むごとに小さくなる傾向にあります。また、まつげが外にはねる絵柄は、2010年以降はほとんどないこともわかります。

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魔法のプリンセス ミンキーモモ(1982年)モモ
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ああっ女神さまっ(1993年)ベルダンディー
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魔法騎士レイアース(1994年)獅堂光
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覇王大系リューナイト(1994年)パッフィー・パフリシア
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新世紀エヴァンゲリオン(1995年)綾波レイ
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Piaキャロットへようこそ!!(1996年)森原さとみ
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ToHeart(1997年)神岸あかり
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センチメンタルグラフィティー(1998年)沢渡ほのか
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まほろまてぃっく(2001年)安藤まほろ
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D.C. 〜ダ・カーポ〜(2002年)朝倉音夢
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交響詩篇エウレカセブン(2005年)エウレカ
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マクロスF(2007年)ランカ・リー
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けいおん(2009年)平沢唯
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない(2010年)高坂桐乃
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魔法少女まどか☆マギカ(2011年)鹿目まどか
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THE IDOLM@STER(2011年)天海春香
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ガールズ&パンツァー(2012年)西住みほ
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たまこまーけっと(2013年)北白川たまこ
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ソードアート・オンラインII(2014年)シノン
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心が叫びたがってるんだ。(2015年)成瀬順
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くまみこ(2016年)雨宿まち
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パーツの特徴・描画

このセクションでは作画やデザイン決定にあたり、個々のパーツの特徴を紹介します。

顔の輪郭

顔の輪郭は、2015年代では、やや丸みを帯びている傾向にあります。以前と比較して、あごの処理の違いが大きいです。あごを鋭角にしない輪郭が多く用いられます。


2000年前後ではあごが鋭角になる輪郭が好まれています。


顔の描画についてはこちらも参照してください。

目、瞳

2016年時点では、シンプルに描画するスタイルが多く用いられます。まつげが外側にはねる描画はあまり使われません。また下まつげも強くは描画しません。


全くまつげの分岐やはねを描かないスタイルもよく用いられます。また、瞳は卵型に描くスタイルもしばしば使われます。


2000年以前は、下図のようにまつげを外側にはねるスタイルや、まつげの両端が2股に大きく分岐するスタイルが使われていました。また、下まつげもしっかりと描画する傾向にありました。

2016年時点では、口は大きめに、しっかり描く傾向にあります。口を閉じていても大きめに描きます。また、歯は中央が膨らむスタイルが良く用いられます。


2000年以前では、口は横方向には大きく書かずに縦に開くスタイルが多用されていました。口も閉じれている場合は、点に近い描画スタイルで描かれることもありました。歯も描くケースはほとんどなく、描いた場合は下図左のように口の上部の輪郭に沿って一定の幅で描画されます。

髪の毛

髪の毛に関しては、大きな違いはありませんが、2016年時点では、髪の毛のボリュームはやや少なめにする傾向です。髪の束も大きめに描き、先端を細かく描かない傾向があります。


2000年以前では、髪の毛のボリュームをやや多めにする傾向で描かれるパターンが多いです。髪の毛の束も細かめに描画されていました。


さらに古い絵柄の場合は前髪のボリュームがさらに多いものがよく使われていました。

体に関しては、流行の変化は少ないため、気にする必要は無いかと思われます。

キャラクターの設定

上記を踏まえて、キャラクターのビジュアルを設定をします。
漫画やゲームのキャラクターのような既存のキャラクターの場合であっても自分用の設定表は練習も兼ねて、あらかじめ作成しておいたほうが良いです。
顔については、正面、斜め、横の3パターンを用意しておくとよいです。必要に応じて着色もします。

サンプル
サンプルなので、目を省略しています。




全身図も準備できたらしておくと良いです。正面、横、背面の3パターンがあればよいですが、正面だけでも良いです。必要に応じて着色もします。

サンプル
サンプルなので、目を省略しています。


描画

作成したキャラクター表を参考にしつつ描画します。

著者
挿絵などのお絵描き担当。以前はオタクライフにどっぷりつかっていたが、最近は体力が衰えたためかやや引き気味。
現在も趣味で細々と制作活動中。
掲載日: 2016-06-05
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