右向きの顔が不自然に見える - 利き手側を向いた顔の描画

顔を描いていると、左向きの顔は自然に描けるのに、右向きの顔は不自然に見えることがあります。また、顔を左右反転させて見直すと不自然に見えることがあります。ここでは利き手側を向いた顔の描画Tipsを紹介します。

よくある現象

  • 左向きの顔は自然に描けるが右向きの顔はなんかうまくない
  • 左向きで書いた顔を左右反転すると不自然
などがあります。ちなみに、利き手が右利きの場合は上記ですが、左利きの場合は反対になります。(右向きは自然だが左向きがうまくない)

原因

利き手により書きにくい線があることが原因といわれています。右利きで右手にペンを持って、下図の円を反時計回りに書くと、A,Bの部分は比較的容易に描けますが、C,Dの部分は描きにくいです。これは、A,Bの部分は手首をスナップさせて手前側に引く動作がしやすいのに対し、C,Dの部分は手を奥に押し出さないと書けないため書くことを難しくしています。


そのため、慣れていないと下図のようにC,Dの部分は丸みが出ずに直線に近い線になってしまいます。(下図は極端な例です)


右側の曲線が直線に近い状態で頭部を描くと、C,D,の部分が直線となり、下図のような後頭部の面積が小さい状態で描画されてしまいます。


上図を反転させると、後頭部の面積が足りず、不自然に見えてしまいます。


そのまま書き進めると、なんとなく右に流れてしまっている感じになってしまいます。頭部全体に対して、顔の右側面の面積がかなり広くなってしまっています。


本来は下図の程度、後頭部が大きくなっている必要があります。

補足:C,Dの線を書く方法

先の図で紹介した、C,Dの線をきれいに描く方法をいくつか紹介します。

対策1: 紙・キャンバスを回転する

紙やキャンバスを回転して書きやすい位置に変えます。

対策2: 反対側から描く

C,Dの線を描画する際は、時計まわりではなく、反時計回りに描くと書きやすいです。

対策3: 肘を前につきだす

肘を前につきだすと書きやすくなります。

どうして右向きは自然に見えるのか?

先の原因により、右側が小さくなってしまうことがわかりましたが、反転させるまでなぜ自然に見えるのでしょうか。こちらも原因は複数ありますが、描画している状態と、見えている状態とのギャップがある可能性があります。

簡単な例で確認してみます。まず、右向きの頭部を書きます。


次に頭部の後頭部~側頭部の部分をすべて消してしまいます。


消した後頭部の部分に正面から見た頭部の輪郭を無理やり書き足します。この状態でも頭部としてはあまり不自然ではありません。描きたいと意図しているものは右向きの顔ですが、実際に出来上がっている画像はほぼ正面を向いた顔(とほぼ同じ)になっています。立体的には破綻が起きていないため不自然さは少ないです。


左右を反転させます。描いてある絵はわずかに右を向いた正面顔ですが、書いている本人のイメージや意図は右向きの顔であるため、右向きの顔ではないことに気づき不自然さを感じます。この問題が悪質なのは不自然さを感じても絵はわずかに右を向いた正面顔になっているため、どう直してよいかがわかりにくい点です。直したつもりでもう一度反転させると、また、不自然に見えてしまうことになる場合が多々あります。


右向きの頭部を描いているにもかかわらず、出来上がった画像が正面を向いている頭部のため、不自然さに気づかず、左右を反転させたタイミングで書きたいと意図した図と実際の図のギャップがわかるためおかしいと感じます。

補足と対策

首を描く

首がある場合はよりわかりやすくなります。


後頭部を削ってしまった場合は首のつながり方が不自然になります。頭部を描く場合は首まで書くことでギャップが起きないようにすることができます。

あたりをとる

最初に正円を描きあたりをとることで問題を軽減できます。


頭部のあたりの取り方はこちらの記事を参照してください。

右向きは苦手だと理解する

右向きの頭部が書きにくいのは、手の動きに由来するものであるため、苦手であることを認識して、右向きを書くときは注意深く描くことで問題を軽減できます。経験上と各種ヒアリングから、かなり長い間描き続けてきて、熟練した人でも左右とも同じように描けるわけではなく、得意不得意があります。

ごまかす

ごまかすのもテクニックのうちです。下図の例は、大きな被り物をかぶせてごまかす例です。

後頭部を描き忘れてしまった場合でも・・・


大きな被り物をかぶせてしまえば。


左右反転も無問題~


顔の向きは被り物の向きで決定できてしまいます。


冗談のようにも見えますが、修正の必要がある場合は、こうした方法で修正の範囲を少なくすることができます。また、頭部を描きなれていない場合に、クオリティーの高い完成品を要求されている場合も有効です。

修正例

先の後頭部が足りない絵を修正する場合です。修正方法は後頭部を描き足すか顔を小さくする必要があります。後頭部を描き足す場合は髪の毛がすべて修正になってしまうため、被り物をかぶせて修正します。


被り物を描き足すことで、大部分を修正せずに済みました。左右反転しても不自然さは少なくなりました。

著者
挿絵などのお絵描き担当。以前はオタクライフにどっぷりつかっていたが、最近は体力が衰えたためかやや引き気味。
現在も趣味で細々と制作活動中。
掲載日: 2014-05-04
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