AmazonEC2 と 自前のサーバーどちらが安いのか? 分岐点はどこ? - AWS EC2

基本情報

  • サーバーは24時間稼働とします - 24×30=720時間/月
  • Webページ:平均サイズ 400KB
  • WebページPV数:月 10,000PV
  • ロードバランサは使いません

Amazon EC2

マイクロインスタンス1台の場合

機器単価一ヶ月の費用備考
サーバー1時間$0.027$19.44/月マイクロインスタンス,613 MB メモリ
固定IP(1個)費用かからず
データ転送量IN - 月間 0.5GB$0.05
データ転送量OUT - 月間 4GB$0.6
合計$20.09 ⇒ 約1,800円1$=90円で計算
$15.77 ⇒ 約1,400円リザーブドインスタンスの場合


スモールインスタンス1台(Windows)の場合

機器単価一ヶ月の費用備考
サーバー1時間$0.12$86.40/月スモールインスタンス,1.7 GB メモリ
160GB インスタンスストレージ
32ビットのみ
固定IP(1個)費用かからず
データ転送量IN - 月間 0.5GB$0.05
データ転送量OUT - 月間 4GB$0.6
合計$87.05 ⇒ 約7,800円1$=90円で計算
$47.45 ⇒ 約4,300円リザーブドインスタンスの場合


ラージインスタンス1台(Windows)の場合

機器単価一ヶ月の費用備考
サーバー1時間$0.48$345.80/月ラージインスタンス,7.5 GB メモリ
850GB インスタンスストレージ
64ビット
固定IP(1個)費用かからず
データ転送量IN - 月間 0.5GB$0.05
データ転送量OUT - 月間 4GB$0.6
合計$346.25 ⇒ 約31,000円1$=90円で計算
$187.85 ⇒ 約17,000円リザーブドインスタンスの場合


自前のサーバー

基本情報

  • 3年で償却
  • 他の用途で共用はしない

NEC Express 5800 GT110b の格安版を用意した場合

機器単価一ヶ月の費用備考
サーバー24,000円670円NEC Express 5800 GT110b
(Cerelon G1101 / Memory:1GB / HDD:160GB)
OS50,000円1,390円Windows Web Server 2008 R2
ルーター32,000円890円YAMAHA NVR500
インターネット光回線5,460円フレッツ光NEXT ファミリーハイスピードタイプ(東日本)
光回線 初期工事費2,100円60円
プロバイダー費819円ASAHI-NETの場合
固定IP(1個)840円ASAHI-NET 固定IPの場合
電気代1,500円サーバー + ルーター + ONUで60Wと想定
合計約11,629円

メモリとHDDを増設してラージインスタンス相当にする場合

機器単価一ヶ月の費用備考
サーバー24,000円670円NEC Express 5800 GT110b
(Cerelon G1101 / Memory:1GB / HDD:160GB)
HDD:2TB10,000円280円
ECCメモリ2GB×416,000円450円ECC DDR3 2GB :4,000円想定
OS50,000円1,390円Windows Web Server 2008 R2
ルーター32,000円890円YAMAHA NVR500
インターネット光回線5,460円フレッツ光NEXT ファミリーハイスピードタイプ(東日本)
光回線 初期工事費2,100円60円
プロバイダー費819円ASAHI-NETの場合
固定IP(1個)840円ASAHI-NET 固定IPの場合
電気代1,500円サーバー + ルーター + ONUで60Wと想定
合計約12,359円

まとめ

  • Amazon EC2 マイクロインスタンス : 1,800円/月
  • Amazon EC2 スモールインスタンス : 7,800円/月 (リザーブドインスタンスならば 4,300円/月)
  • Amazon EC2 ラージインスタンス : 31,000円/月 (リザーブドインスタンスならば 17,000円/月)
  • 自前で構築 : 12,000円/月
  • 自前でラージインスタンス相当を構築 : 12,500円/月
今回の試算では、サーバーを設置する場所(土地)代やサーバーラックの費用、停電、災害によるリスクやハードウェア故障のリスク、バックボーン回線の安定度などは含んでいませんが何事もなかった場合は上記の費用がかかる計算になります。
静的なHTMLファイルを置くだけのWebサイトを構築する場合は共用レンタルサーバーやホームページページエリアのレンタルサービスを利用したほうがはるかに安いため、Amazon EC2の利用を検討する場合はTomcatやASP.NETを使い、データベースと連携するWebアプリケーションを動作させることが前提だと思われます。その場合、マイクロインスタンスでは実用には向かないため、候補から除外すると、Amazon EC2のスモール/ラージインスタンスか格安サーバーを使っての自前の構築かという選択になると考えられます。自前構築の場合はサーバーのスペックを強化しても3年償却のため、月々の費用がそれほど増えないのが特徴です。

Amazon EC2ではリザーブドインスタンスで構築すれば安価に構築できますが、3年間の利用権(または1年間)のため途中でサーバー増強が必要になっても変更はできませんのでその部分がリスクになります。
Amazon EC2では転送量が増えると費用も増えるため、アクセス数が増加すると費用が増える点もリスクになります。
Amazon EC2 月間転送量と費用
月間転送量(out)1GB2GB5GB10GB25GB50GB100GB
費用$0.0$0.2$0.8$1.81$4.82$9.85$19.90

スモールインスタンスに関しての補足

メモリ1.7GBインスタンスでWeb + アプリケーションエンジン(IIS or Tomacat) + データベースまで稼働させるのはちょっと厳しいかもしれません。

  • トラフィックの総量が見込めず、大幅なサーバー追加や強力なバックボーンが急に必要になる可能性がある。サーバーを置く場所がない ⇒ Amazon EC2
  • 稼働させるWebアプリケーションは既に決まっており、トラフィックも想定から大幅に増加/減少することはない ⇒ Amazon EC2 リザーブドインスタンス
  • トラフィックは100MBit以下の帯域で十分だが、スペックの高いサーバでWebアプリケーションを多数稼動させたい ⇒ 自前で構築
  • Webアプリケーションで扱うデータが非常に大きい(TBクラス) ⇒ 自前で構築 (データアップロードコストを考えなくてよい、ディスク費用が安い)
  • Webサイトを公開するだけ ⇒ 共用レンタルサーバー、ホームページ領域レンタルサービス
といった選択になると考えれらます。

補足 - 中小企業やSOHOの場合

中小企業やSOHOの場合は、インターネットサーバーと社内サーバーを共有するケースや、インターネット接続回線もサーバー公開用と社員のインターネットアクセスで共用する場合があります。この場合は費用計算が変わります。

例 SOHO、中小企業でサーバーを共用する場合

  • サーバー資源の2分の1を社内業務で使うものと想定
  • インターネット回線資源の3分の2を社内業務で使うものと想定
機器単価一ヶ月の費用備考
サーバー24,000円670円⇒335円NEC Express 5800 GT110b
(Cerelon G1101 / Memory:1GB / HDD:160GB)
HDD:2TB×220,000円560円⇒280円RAID1構築
ECCメモリ2GB×416,000円450円⇒225円ECC DDR3 2GB :4,000円想定
OS50,000円1,390円⇒695円Windows Web Server 2008 R2
ルーター32,000円890円⇒270円YAMAHA NVR500
インターネット光回線5,460円⇒1,638円フレッツ光NEXT ファミリーハイスピードタイプ(東日本)
光回線 初期工事費2,100円60円⇒20円
プロバイダー費819円⇒273円ASAHI-NETの場合
固定IP(1個)840円ASAHI-NET 固定IPの場合
電気代1,500円⇒750円サーバー + ルーター + ONUで60Wと想定
合計約5,400円

サーバー共用を考慮するとトラフィックが少なければAmazon EC2よりお得な計算になります。


著者
iPentec.com の代表。ハードウェア、サーバー投資、管理などを担当。
Office 365やデータベースの記事なども担当。
掲載日: 2011-06-06
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