メカの描き方

イラストや漫画用のメカの描き方の紹介記事です。この記事では高品質に描画する方法よりも、 それっぽく見えるものを手早く簡単に書く方法を紹介します。それらしく見せるために、うまくごまかす方法も紹介します。
ヒント
2020年以降は、メカや構造物は3DCGで描画する場合も多いです。3DCGによる作画も検討候補の一つになります。特に複雑な形状で高品質に作画したい場合や、 何度も利用する場合、アニメーションしたい場合には強力なツールになります。

メカの難しさ

メカの絵が難しいと考えられる理由はいくつかあります。また、できれば描くことを避けたいと考える方も多いです。難しさや描きたくない理由として以下があります。

直線が多い

メカなどの工業物は直線が多く、フリーハンドで描くと線がまっすぐに引けず、線のゆがみ(線の太さが一定でない)も出るため、描きにくく難しいと感じます。

線が細く一様

メカなどの工業物は固いものでできているため、線の強弱をつけずに一様に描かないとそれらしく見えません。また、線も細くなるため描く手間がかかります。

線の数が多い

メカなどの工業物は凹凸や段差、ジョイントなどのパーツが多いため、線が多く沢山の線を描く必要があり、時間と手間を要すため、描くことを避けたいと感じる人が多いです。

立体感にシビア

キャラクターは多くの場合、球体や円柱形で表現できますので、面を意識せずに描けますが、メカなどの立体物では直方体の物体が多いため面の向いている方向などを正確に描かないと不自然に見えてしまいます。キャラクターよりも立体や面を意識して描く必要があるため難しく感じます。

構造に詳しくない

人間は街中で見かけますし、普段の生活で見かけますが、バイクのエンジン、重機、工業プラントなどは普段の生活であまり見かけません。構造に詳しくなく、形も頭の中に入っていないため描くことを難しくしています。

描き方Tips

実物を見る

多くの場合、「メカ」と言われても構造の詳細は覚えていないものです。今回は「戦車」を例にしてみたいと思います。普段から戦車を描かない人に何も見ずに戦車を描かせた場合、おそらく下図のような絵だと思われます。


実際の戦車の写真はこちら(Wikipediaより)


実際の写真と頭の中のイメージではバランスも相当違いますし、実際の戦車はこまごまとしたパーツがたくさんあることもわかります。写真を参考にして描いたのが下図です。


何も見ずに書いたものよりだいぶリアルになっています。メカを描く場合は想像でなく、実物を見たり、写真を集めて全体のバランスや細かい部分の構造を確認すると良いです。自分で撮影した写真ならば、トレースしてしまうのもありです。

小さく描く

先に紹介したようにメカは線が細く、線の数も多く描くのに手間がかかります。画面にメカをいっぱいに入れた絵を描いたのが下図です。

(正直、線が多くて途中で嫌になりました。)
画面に大きく対象物が入るため細かい部分まで描かないとそれらしく見えません。そのため細かいパーツや本体の凹凸や継ぎ目の線を全部書いてあげる必要があります。

一方、メカを画面の中に小さく描いたのが下の図です。

メカを小さく描くと、全体のシルエットがあっていれば、細かい部分は描かなくてもそれらしく見えます。また、線の数も少なくて済むため時間もかかりませんので、戦車の台数を増やしても苦になりません。周囲の風景を描いてあげれば、周囲の状況を説明でき、雰囲気も出ますので一石二鳥です。

凹凸を強調する

メカにある凹凸を強調して描くとそれらしく見せることができます。
今回は例で下図のロケットを描いてみます。


下図左は写真をそのままトレースして描いたものです。右は写真をトレースして描きますが、凹凸を写真以上に強調して描いたものです。実際の形より凹凸を強調して描いたほうが、見栄えが良くなることがわかります。


凹凸を減らすと長い直線が多くなります。長い直線を定規を使わずにフリーハンドで描くと、どうしても線がゆがんだり曲がったりします。凹凸を増やすと凹凸により長い線が分割され複数の短い線になるためにフリーハンドで描いた場合でも線のゆがみや曲がりが目立たなくなるメリットもあります。

全部描かない

航空機の絵を例にします。画面に全体を入れた図が下図です。


全体を描くと線の量も増えバランスも取りにくくなります。そこで、特徴的な一部分を抜き出して描いたのが下図になります。全体を描かないため線の量が減らせます。また、多少バランスが崩れていてもごまかせます。


下図のように、キャラクターで隠してしまうのも手です。


暗くする(1) 環境を暗くする

環境を暗くします。環境が暗いと細かい部分は見えにくくなるため細部を描かなくてもそれらしく見えます。

白地に黒線で描いたものです。写真からのトレースです。ちょっと軽薄で薄っぺらい感じがします。


全体を暗くしました。細かい部分が目立たなくなります。


さらに一部分を暗くしました。細部が目立たなくなり、それらしく見えます。

暗くする(2) 陰影を濃くする

輪郭のみを描いたものです。写真からのトレースです。


陰になり見えない部分を描かずに黒で塗りつぶしてしまします。メリハリがつき輪郭のみを描いたものよりも見栄えが良くなります。黒で塗りつぶした部分は暗くて見えないことになるので、線の数も減ります。どの程度黒で塗りつぶすかは好みです。


トーン処理した例です。

左右対称を避ける

(作成中)
著者
挿絵などのお絵描き担当。以前はオタクライフにどっぷりつかっていたが、最近は体力が衰えたためかやや引き気味。
現在も趣味で細々と制作活動中。
掲載日: 2012-03-25
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