ExcelでT.TEST関数を利用してt検定をする手順を紹介します。
概要
Excelでt検定をするには T.TEST関数を利用すると簡単に計算できます。T検定は母集団が正規分布に従うと仮定して検定をします。(母集団が正規分布に従っていない場合は、標本平均はt値からは多かれ少なかれ乖離します。)
書式
T.TEST(グループ1の配列または値, グループ2の配列または値, 片側分布か両側分布か, 検定の種類)
第三引数は以下の値を取ります。
片側分布か両側分布
値 | 処理 |
1 | 片側分布 |
2 | 両側分布 |
第四引数は以下の値を取ります。
検定の種類
値 | 処理 |
1 | 対をなすデータのt検定 |
2 | 等分散の2標本を対象とするt検定 |
3 | 非等分散の2標本を対象とするt検定 |
利用例
条件
ある新薬を開発しました。投薬前と投薬後に測定をしました。結果は下記の表です。このとき、新薬は(数値を下げる)効果があると言えるでしょうか。
名前 | 投薬前 | 投薬後 |
ぺんた | 10 | 1 |
あでりー | 8 | 7 |
じぇんつー | 6 | 1 |
ろっくほっぱー | 4 | 4 |
ぐれい | 2 | 2 |
きんぐ | 9 | 1 |
帰無仮説は、差がない、誤差のない仮説になるため「投薬前と投薬後に効果の差は無い」となります。
極端な値での検証
下記の表を準備します。
名前 | 投薬前 | 投薬後 |
ぺんた | 10 | 10 |
あでりー | 8 | 8 |
じぇんつー | 6 | 6 |
ろっくほっぱー | 4 | 4 |
ぐれい | 2 | 2 |
きんぐ | 9 | 9 |
平均値も出しておきます。(下図参照)
F9セルに下記の数式を入力します。
=T.TEST(C3:C8,D3:D8,2,1)
前後の値が全く同じ場合は、"#DIV/0!"になり計算結果が出ません。前後で結果が全く同じため、2つのグループ(投薬前,投薬後)は同じである(差がない)ことは明らかです。
t検定の準備
続いて、「投薬後」の値を下記に変更します。投薬後の値を1減算、または、1加算します。平均値は同じになるようにします。この場合、F9セルのt検定の値は"1"になります。1はt検定の最大値であり、仮説は棄却できず、投薬前と投薬後は同じものであり差がないと判定されます。
続いて、投薬後の値を大きく下げます。平均値も下がります。この状態でF9セルのt検定の値は"0.0098..."となります。信頼水準を95%とすると5%以下(0.05以下)であれば、別のグループと判断できますので、"0.0098 < 0.05"のため、投薬前と投薬後は別のグループであり、仮説は棄却され、差がある(有意差がある)ことが言えます。(薬の効果があると言えます)
続いて投薬後の数値を変更し、"ろっくほっぱー"と"ぐれい"に変化が無い状態にします。このとき、F9セルのt検定の値は"0.030..."となります。信頼水準を95%とすると、、"0.030 < 0.05"のため、この結果でも投薬前と投薬後は別のグループであり、仮説は棄却され、有意差があると言えます。
t検定をする
"あでりー"の結果の変化の度合いを下げ、条件の表と同じ値にします。セルのt検定の値は"0.069..."となります。信頼水準を95%とすると、、"0.069 > 0.05"となり、仮説は棄却できず、投薬前と投薬後は同じグループであると判断され、投薬前と後の値は誤差の範囲内といえます。投薬前と投薬後の有意差は無いと言えます。(薬の効果は無いと言える)
補足
先の結果では、有意差が無い結果になりましたが、標本数が足りないなどの可能性もあるため、標本数を増やすと有意差がある結果となる場合もあります。標本数は多くしたほうがより正確な結果が出ます。
信頼水準
ある信頼水準で設定した範囲(信頼区間)に誤差を含めて入っている確率を設定します。
上記の例では、信頼水準を95%とした場合、100回測定して95回の結果は有意差が無い(信頼区間に入っている)と言えることになります。
著者
iPentec Document 編集部
iPentec Document 編集部です。
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最終更新日: 2024-01-21
作成日: 2016-08-25