t検定をする - Excel

ExcelでT.TEST関数を利用してt検定をする手順を紹介します。

概要

Excelでt検定をするには T.TEST関数を利用すると簡単に計算できます。T検定は母集団が正規分布に従うと仮定して検定をします。(母集団が正規分布に従っていない場合は、標本平均はt値からは多かれ少なかれ乖離します。)

書式

T.TEST(グループ1の配列または値, グループ2の配列または値, 片側分布か両側分布か, 検定の種類)

第三引数は以下の値を取ります。
片側分布か両側分布
処理
1片側分布
2両側分布

第四引数は以下の値を取ります。
検定の種類
処理
1対をなすデータのt検定
2等分散の2標本を対象とするt検定
3非等分散の2標本を対象とするt検定

利用例

条件

ある新薬を開発しました。投薬前と投薬後に測定をしました。結果は下記の表です。このとき、新薬は(数値を下げる)効果があると言えるでしょうか。

名前投薬前投薬後
ぺんた101
あでりー87
じぇんつー6
ろっくほっぱー44
ぐれい22
きんぐ91

帰無仮説は、差がない、誤差のない仮説になるため「投薬前と投薬後に効果の差は無い」となります。

極端な値での検証

下記の表を準備します。
名前投薬前投薬後
ぺんた1010
あでりー88
じぇんつー66
ろっくほっぱー44
ぐれい22
きんぐ99

平均値も出しておきます。(下図参照)


F9セルに下記の数式を入力します。
=T.TEST(C3:C8,D3:D8,2,1)


前後の値が全く同じ場合は、"#DIV/0!"になり計算結果が出ません。前後で結果が全く同じため、2つのグループ(投薬前,投薬後)は同じである(差がない)ことは明らかです。

t検定の準備

続いて、「投薬後」の値を下記に変更します。投薬後の値を1減算、または、1加算します。平均値は同じになるようにします。この場合、F9セルのt検定の値は"1"になります。1はt検定の最大値であり、仮説は棄却できず、投薬前と投薬後は同じものであり差がないと判定されます。


続いて、投薬後の値を大きく下げます。平均値も下がります。この状態でF9セルのt検定の値は"0.0098..."となります。信頼水準を95%とすると5%以下(0.05以下)であれば、別のグループと判断できますので、"0.0098 < 0.05"のため、投薬前と投薬後は別のグループであり、仮説は棄却され、差がある(有意差がある)ことが言えます。(薬の効果があると言えます)


続いて投薬後の数値を変更し、"ろっくほっぱー"と"ぐれい"に変化が無い状態にします。このとき、F9セルのt検定の値は"0.030..."となります。信頼水準を95%とすると、、"0.030 < 0.05"のため、この結果でも投薬前と投薬後は別のグループであり、仮説は棄却され、有意差があると言えます。

t検定をする

"あでりー"の結果の変化の度合いを下げ、条件の表と同じ値にします。セルのt検定の値は"0.069..."となります。信頼水準を95%とすると、、"0.069 > 0.05"となり、仮説は棄却できず、投薬前と投薬後は同じグループであると判断され、投薬前と後の値は誤差の範囲内といえます。投薬前と投薬後の有意差は無いと言えます。(薬の効果は無いと言える)

補足
先の結果では、有意差が無い結果になりましたが、標本数が足りないなどの可能性もあるため、標本数を増やすと有意差がある結果となる場合もあります。標本数は多くしたほうがより正確な結果が出ます。

信頼水準

ある信頼水準で設定した範囲(信頼区間)に誤差を含めて入っている確率を設定します。
上記の例では、信頼水準を95%とした場合、100回測定して95回の結果は有意差が無い(信頼区間に入っている)と言えることになります。

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  • Excel t検定
  • Excel 標本 t検定
著者
iPentec Document 編集部
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最終更新日: 2024-01-21
作成日: 2016-08-25
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