継続して作品を制作できなくなってしまう理由・対処方法を紹介します。
概要
はじめは楽しかった、お絵描き創作活動ですが、だんだん制作スピードが落ち、やがては制作しなくなってしまうことがあります。
デザイナーとのヒアリングを通じて、制作をしなくなってしまう理由、できなくなってしまう理由と対処方法などを紹介します。
制作しなくなる理由
制作が進まなくなる理由を紹介します。
題材が思いつかない
描きたいものがなくなる。というパターンです。
初めのころはうまく描けずに、描き続けて上達することが楽しかったのですが、ある程度上達すると、描き続けていても変化がなくなるため、
上達する楽しみがなくなってしまいます。
描きたい題材でそれなりのクオリティの絵が描けるようになり、想定しているイメージで絵が描けますが、
描きたいイメージが思いつかずに手が動かなくなってしまいます。
また、ある程度描けるがゆえに、後述の「めんどう」を乗り越えてまで表現したい題材がない。というパターンもあります。
完成イメージが見えているのでわざわざ描きたくない
ある程度、絵が描けるようになると、ラフと構図を決めて描いた段階で着色後の最終結果のイメージまでが想像できるようになります。
絵を描く工程では後半の着色と仕上げが非常に時間がかかり、面倒なため、描く気力がなくなるパターンです。
描いている本人の頭の中には完成形のイメージがありますので、下書きができた状態で満足しています。
めんどう (めんどい) / 気力が持たない
絵を描く作業は基本的には細かい作業であり、特に着色は慣れると単純作業になるため、手数の多い緻密な絵の場合は気力が持たない場合があります。
絵を描くことに慣れ、パターン化してしまい単純作業に飽きることや、加齢による集中力の低下も原因としてあります。
単純作業の繰り返しに飽きる
面倒と似ていますが、絵を描けば描くほどワークフローが確立され、単純作業に近い状態になります。
初めのころは楽しかった作業も、何千枚も描き続けると、ただの単純作業になり楽しみを見いだせず苦痛になるというパターンです。
お金にならないことはしたくない
職業デザイナでよくあるパターンです。趣味で制作してSNSやブログに掲載してもPVが増えるだけなので、お金にならないことはやらない。という状況です。
(結構います。)
または、作風や得意とする画風の拡散力が弱くSNSやブログで見向きもされない。というパターンもあります。
(商用デザインは癖がない絵やデザインが好まれるため、熟練のプロがSNSに投稿しても、バズりにくい場合が多々あります。)
自分で描かなくても良いことに気付いた
こちらは、ビジネス面に目覚めてしまったパターンです。
よく考えてみると、絵を描くことが目的ではなく、自分のシナリオを絵で表現してもらえれば、自分で作画しなくても良い。
または、自分が必要としている絵を好みの作家に描いてもらえれば十分だということに気付くケースです。
この場合、自分で描く必要はなく、(マネーパワーで)気に入った作家に描いてもらえばよいということになります。
製品のディレクターや漫画の原作者、VTuberでモデルをデザインしてもらうなどがこれに該当します。
もっと儲かるビジネスを見つけてしまった
こちらはたまにあるパターンです。絵を描くことが楽しくて絵を描き始めたが、実は途中から絵で儲けることが目的になっていた場合です。
絵を描いて販売したり、イラスト案件を受注していたものの、もっと儲かるビジネスを見つけてしまったという状況です。
絵を描く作業は基本的には単純作業で手間がかかり、時間を切り売りするビジネスモデルでスケールもしないため、ほかのビジネスモデルのほうが儲けやすいです。
絵を描くビジネスでいえば、イラストを受注して販売するより、同人誌を売るほうがスケールしやすく儲けやすいですし、漫画を描いて出版すれば、
さらにスケールしやすく相乗効果も見込めます。
ほかの分野に取り組むパターンもあり、単価の高いフィギュアに軸足を移したり、アクセサリー制作や物販などにシフトするケースもあります。
または得た利益で投資を始める方もいます。
学生時代にWebサイトやSNS、同人誌などで絵を描いていた人が就職すると絵を描かなくなってしまうのは、制作に割り当てられる時間が少なくなる。という背景もありますが、
企業でのビジネスのほうが楽で儲けやすいという状況もあります。
対処法
対処法です。(対処できるものに限ります)
題材が思いつかない
対処法は以下があります。
用途を見つける
イラストや制作物の「用途」があれば、題材の枯渇を防げます。
例えば、Youtubeで動画を作成するためにキャラクターや画像の素材が必要。
Webページでの挿絵のイラストが必要といった用途に基づいた制作です。
漫画を描く
一枚絵のイラストの題材よりも漫画のほうが題材が豊富にあります。SFであれば新しい場所や登場人物を出す。日常系であれば普段の生活の中に題材がたくさんあります。
毎回、別の世界、別のキャラクターでの絵を描き続けるとキャラクターや世界の深堀りができずに、題材やデザインに行き詰まることがありますが、漫画であれば、一つの世界やキャラクターが継続していますので、題材が枯渇するケースは少なくなります。
逆に漫画でも、毎回、世界観が異なる短編ばかりになると、題材が枯渇するケースがあります。
職業にする
職業にする方法もあります。プロになれば、デザインスタジオの場合は案件が顧客からやってきますし、
フリーランスで受注すれば、依頼元からどういったクリエイティブを求めているかの指定があります。
企業内デザインスタジオの場合でも、案件は続々とやってきますので、題材に困ることはないです。
ただし、案件の選り好みはできないため、自分の好みの絵が描けることはまずないです。
(アイコンや広告バナー、チラシばかり制作しているというケースもあり。)
番外:天才 / 刺激を受ける
何もなくても、沸き起こるイマジネーションで題材が次々思いつくという方が(めったにいませんが)います。
自らの心の声に従い、20年以上次々と作品を生み出していく作家を見ると、まさに天才だなと思います。
上手に絵を描くことや優れた技術を持つことではなく、創作活動に対する情熱をどれだけ長く持ち続けていられるかが
アーティストの才能の一つだと感じます。
また、ほかの作家の作品を見たり、映画を見たり、遠くに旅行することなどで刺激を受け、創作意欲が高まる場合もあります。
自由気ままに放浪の生活をしてみるのも対処法としてはありだと思います。(それで暮らしていけるかは別ですが)。
めんどう / 気力が持たない / 単純作業の繰り返しに飽きる
面倒に感じてしまった場合や、絵を描く細かい作業に気力が続かない場合は性格の問題や集中力の低下の影響が大きいため、根本的な対処は難しいです。
ちなみに、細かい作業や同じ作業を繰り返しても全く苦痛に感じない方もいるため、程度の大小があります。
対処方法には以下があります。
- ほかの人に描いてもらう (AI含む)
- 素材を買う
- 作風を変える
- 仕事にする (いやいややる)
ほかの人に描いてもらう
ほかの人に描いてもらう方法です。下書きと線、構図までを指定してほかの作業は得意な人に描いてもらいます。
漫画で背景や色塗りをアシスタントさんに描いてもらう方法と同様です。
絵を描くことは好きだが、いざ絵を描き始めてみたら、実は細かい作業が得意ではなかった。というケースは結構あります。
また、表現したいイメージは豊富にあるのに作画の手が追い付かないというケースもあります。
今後AIでの着色や作画も進んでくると思われますので、AIにお任せするパターンも出てきそうです。
素材を買う
Adobe Stockやshutterstockで購入して加工する方法です。
要素を購入してうまく配置してイメージ通りの制作物を表現できれば、時間短縮にもなりますし、目的も達成できるため楽です。
どうしても自分で描かなければいけない部分のみを描いたり編集すればよいです。
また、特徴的なもの(キャラクター、オリジナルデザインの造形物)以外は、作家性が出にくいため、素材等を購入して流用しても作品全体のカラーは変わらないことが多いです。
ライセンス面でも用途に応じたライセンスの種類を購入すれば問題ありません。
商用のクリエイティブでも購入して利用するケースはかなりあります。
最重要クリエイティブ(大量配布物、メインビジュアル)に関しては、素材は使わずにすべて描き上げるケースが多い印象です。
作風を変える
いろいろ突き詰めた結果、水墨画に目覚めてしまったり、モダンアートの抽象画に目覚めたり、
スプレーでのアートに目覚めたり、ペンキ塗りたくりアートに目覚めたりするパターンです。
一般的には、緻密さや写実性が好まれる傾向にありますが、そうではないアートの世界もあります。
仕事にする (いやいややる)
めんどうだけど、仕事だからしょうがないよな。と割り切るパターンです。
(アシスタントさん(いれば)やAI(使えれば)にやってもらうのもありかと思います。)
お金にならないことはしたくない
この場合は、すでにプロとして活動していますので、休みの日まで制作しなくても良いのではと思います。
突き動かされる何かが出てくれば、きっと無償でも創作する意欲が出ると思います。
デザインのトレンドは徐々に変化するため、自己研鑽や市場調査はある程度必要かと思います。
自分で描かなくても良いことに気付いた
うまくいっていれば、気分転換にたまに自分で描いてみる程度でよいのではないかと思います。
ただし、出来上がったものに対しての良い、悪いを判断できる目は引き続き必要なため、ほかの作家のデザインや創作物を見たり、
デザインや流行のトレンドのキャッチアップといった情報のインプットや市場調査は継続して取り組む必要があります。
もっと儲かるビジネスを見つけてしまった
こちらのケースは、絵を描かなくなってしまったことを後悔していないと思います。
著者
iPentec Document 編集部
iPentec Document 編集部です。
快適な生活のための情報、価値のある体験やレビューを提供します。
最終更新日: 2023-02-25
作成日: 2022-11-06