イラストを作成する場合PhotoshopとIllustratorどちらが良いのかについて紹介します。
概要
PCでイラストを製作するにあたり、候補となるソフトウェアにAdobeのPhotoshopとIllustratorがあります。最近では、CLIP STUDIO PAINTも候補としてあります。
どんな場合にどのアプリケーションを選択するのが良いか紹介します。
商用ではIllustratorが多い
商用のイラストでは、Illustratorを使うことが多いです。分野にもよりますが、8割以上Illustraotrを利用している印象です。
最終的に、PNGやビットマップ等のラスタ画像で出力する場合であっても、Illustratorで製作を進め、ラスタ画像書き出しで出力するケースが多いです。
Illustratorを使う場合のメリットは次のものがあります。
1:印刷対応が容易 (解像度問題)
ラスタ画像で作成すると印刷に気を使う必要があります。特に解像度が足りない、解像度を上げたいといった場合に対応が難しいです。
最初から高解像度で作ればよいのですが、想定外の解像度アップもあり大変です。
2:修正に対応できる
レビュー中に修正が多々発生します。この際、ラスタ画像だと対応しきれない、または、書き直しになってしまうケースがあります。
例えば、一部のパーツを2倍のサイズにしたい。曲線部分を微妙に修正したい、塗りの色を変えたい、グラデーションのトーンを変えたいなどです。
Photoshopでもレイヤー分けで対応できる部分もありますが、拡大の修正が来ると対応が難しい場合が多々あります。
3:手書き感が出ないようにしたい
手書き感が出ては困るイラストが大半です。
直線は完全にまっすぐ、曲線も滑らかに、線の幅は一定、塗りの色もむらなく均一に、というイラストやデザインが大半を占めます。
ペンタブレットで手書きするケースはほとんどありません。マウスと数値でコントロールできるIllustratorのほうが扱いやすいです。
人物や動物キャラクターであっても、手書き感は出ないようにしたいものが多いです。そのため、手でペン入れといった作業はほとんど発生しないです。
ペンタブレットは使うデザイナーもいますが、ペンタブレットでベジェ曲線のハンドルを修正してばかりです。
4:セットで管理したい
イラストやアイコンは色違いや内容違いをセットで管理して変更します。この場合Illustratorのアートボードの機能を利用します。
Photoshopでは最近までアートボードの機能がなかったため、複数のイメージアセット管理がしづらく、管理上の容易さからもIllustratorを利用するケースが多いです。
5:ベクタ画像の普及
最近では、WebページでもSVG画像が表示でき、SVGのアニメーションの実装もできるようになりました。このため、画像をラスタではなく、SVG画像として配置したいケースも出てきています。SVG画像を作成する場合は、ベクタ画像での作成となるため、Illustratorを使用するほうが良いです。
Photoshopを利用するケース
商用デザインをする前はPhotoshopでなんでも作業していましたが、Illustratorの利用シーンが多くて、最初はびっくりしました。
とはいえ、Photoshopを利用するケースもあります。Photoshopを利用するケースとして以下があります。
1:撮影画像の編集
デジタルカメラで撮影された画像の加工や、色味変更などの画像加工はPhotosohpで実施します。Illustratorでは作業しにくいです。
2:スクリーンキャプチャ画像の加工
スクリーンキャプチャの画像を加工する作業の場合は、スクリーンキャプチャがラスタ画像のため、Photoshopで作業したほうが効率が良いです。
しかし、最近では、Adobe XDという新しいアプリケーションが出てきているため、レイアウトなど多くの作業をAdobe XDで実施したほうが効率が良くなってきています。
3:簡単に修正されては困るもの
権利関係等の諸事情で、簡単に修正されては困る画像はラスタ画像やレイヤー結合済みPSD納品されるケースがあります。
印刷にも耐えられるよう、高解像度の画像もあります。画像の余白の切り抜きや加工でPhotoshopを利用します。
4:手書き感を出したい場合
手書き感を出したい場合に、ペンタブレットを利用してPhotoshopでドローイングする場合があります。ただし、頻度は低いです。
アニメーションや漫画関係のイラスト製作では頻繁にあるかもしれません。
用途別ソフトウェア選択
用途ごとにどのソフトウェアを使うのが良いかの紹介です。
イラスト : 一般
一般的なイラストの場合は、Adobe Illustratorになります。手書き感が出ては困るもの、印刷前提のものが多いため、ベクタ画像での製作が前提になります。
レイアウトもIllustratorを使うほうが効率が良いです。(多くのデザインチームでもIllustratorを使っていると思います。)
イラスト : まんが、アニメ
以前はPhotoshopが利用されていましたが、最近では、CLIP STUDIO PAINTを利用するケースが多いのではないかと思います。
アニメ系のコンテンツはほとんど取り扱っていいないため、詳しいことはわかりませんが、鉛筆線をスキャナで取り込む方法が以前から使われています。
一方で、デジタル化の普及や昨今の高解像度化に伴い、線がシャープになっているケースもあり、線はベクタ画像で描画しているケースがあるかもしれません。
着色は手描き感のあるグラデーションやにじみなどを表現するケースや、背景の描画の関係でラスタ画像の編集環境(PhotoshopやCLIP STUDIO PAINT)のほうが適しています。
アナログの描画感を出すため、Corel Painterなどのペイントソフトを利用するケースもあります。
文字を入れたりしてポスター等の印刷をする場合は、一般的なイラストと同様、最後のレイアウトはIllustratorで実施するケースが多いのではないかと思います。
Webクリエイティブ、Web UI
Webクリエイティブの場合も、Adobe Illustratorが適しています。手書き感を出さないものが多く、
Web素材の場合はアートボードでのアセットの管理等も便利です。
以前はピクセル指定で画像を作成するケースが多かったため、Photoshopでの製作が多かったのですが、最近ではレスポンシブデザインの普及や
スクリーンの高解像度化に伴い、原寸サイズをそのまま表示するケースが減ってきている。
1ピクセル単位でこだわらなくてもよいといった理由でIllustratorでの製作が増えています。
現状でも、WebクリエイティブのバナーやUI等で画像サイズが小さいものはピクセル単位で編集する画像もあり、
その場合は、Photoshopを利用して製作しますが、多くはIllustratorでの製作になっている印象です。
撮影した写真の編集、加工
デジタルカメラで撮影した画像の編集はPhotoshopが適しています。
ラスタ画像の加工
ラスタ画像の編集はPhotoshopが適しています。
Illustratorでラスタ画像に書きだした後に微修正する場合にPhotoshopで修正するケースもあります。(本来はマスタのAIファイルを修正するべきなのですが。。。)
テクスチャー編集
手の込んだテクスチャーの編集ではPhotoshopが使われる場合があります。Illustratorでは、パーツ数が多くなると動作が極端に遅くなるため、
複雑な模様のテクスチャー画像はPhotoshopで作業するケースがあります。
こちらも、近年AdobeがSubstance PainterやSubstance Designerを買収したことから、今後はSubstance Designerを利用するケースが増えるかと思われます。
スクリーンキャプチャ画像の加工 (特にUI系)
ラスタ画像の中でもUIなどのスクリーンキャプチャ画像の加工の場合は、Photoshopを利用するケースが多いですが、
最近では、Adobe XDを利用すると効率が良いです。
複数のアートボードを管理できたり、UIでよくつかわれる形状を描画する作業が手早くできます。
文字列の流し込み、配置もPhotoshopよりUI作成に適した動作になっています。
AdobeがFigmaを買収したことにより、XDはフェードアウトしそうなため、今後はFigmaに移行する可能性が高そうです。
著者
iPentecのメインデザイナー
Webページ、Webクリエイティブのデザインを担当。PhotoshopやIllustratorの作業もする。
最終更新日: 2023-02-11
作成日: 2022-01-30