パソコンの選び方 (購入時のスペック決定)

パソコン購入時の選び方について紹介します。

概要

スマートフォンやタブレットが普及したこともあり、パソコンを必要としない状況も増えてきました。そのため、パソコンを購入する場合のスペックの決め方がこれまでよりも難しくなってきている印象があります。この記事ではパソコンを購入する際のスペックの選定方法などを紹介します。

ノートパソコンかデスクトップPCか

パソコンには大きく分類してキーボードとディスプレイが一体になったノートPCとPCの筐体とディスプレイが別々のデスクトップPCに分かれます。新たにPCを購入する場合、まず、ノートPCかデスクトップPCかを決める必要があります。

ノートPCを選択する場合

一般的な用途であれば、現在ではノートPCを選択するほうが無難です。持ち運びも容易で家の中を持ち運ぶことも、家の外に持ち出すこともできます。また、画面の大きさは一般的なサイズで13インチから15.6インチで使いやすい大きさです。画面サイズが大きいノートPCでは17インチのノートPCもあり、一般的な用途で画面の大きさが不足することはありません。
一方で、ノートPCではキーボードが省スペースで薄型なため、キー入力が非常に多い用途では、慣れの問題もありますが、やや打鍵がしにくい傾向にあります。また、小さいサイズのノートPCではテンキーがないキーボードが多く、テンキーを利用して作業をしたい場合は、別途キーボードを接続する必要があります。画面の大きさについても、15インチ、17インチよりも広い画面が必要となる動画編集、画像編集、プログラミングなどの用途ではやや画面が狭く感じることがあります。
また、ノートPCの多くは省電力での利用が中心のため、CPUの負荷が高い処理を長い時間実行するとファンが全力で回転してしまうため、動作音の問題が出ることもあります。

デスクトップPCを選択する場合

デスクトップPCは筐体とディスプレイが別々のため、持ち運びはしにくいですが、大きなディスプレイやフルサイズのキーボードなどを接続して利用できます。大画面のディスプレイが必要となる動画編集や画像編集などの作業に向いています。また、文字の入力が非常に多い作業でもしっかりしたキーボードを利用できるため、作業がしやすいです。
また、CPU負荷が高い処理を実行した場合でもノートPCよりファンのサイズが大きく、数も多いため比較的静かに動作します。
大型の高性能なグラフィックカードを取り付けることができるため、ゲームやCAD等の用途にも向いています。
一方で、表計算、文書作成、Web閲覧など、高性能な処理を必要としない場合はこれらのメリットが生かせないため、デスクトップPCである必要性があまり無いです。

用途

導入するPCの形態が決まれば、次に用途から、メーカーやどの程度のスペックが必要かを決めます。大きく分けると、WindowsのPCにするかMacにするかの選択になります。

表計算、文書作成、Web閲覧

ノートPC

表計算や文書作成、Web閲覧であれば、一般的なノートPCで問題ありません。Macを選択する場合は、Mac Book、Windowsマシンを選択する場合は、個人用のノートPCか法人用の一般ノートPCを選択すれば良いです。スペックで違いがありますが、筐体が金属製で高級感がある、液晶画面がきれい、ディスプレイが4Kなどの違いで価格差があります。デザインや大きさなど好みに応じて選択すれば問題ないです。

具体的な機種

HP Spectre, HP ENVY, HP Pavilion, DELL Inspiron, DELL XPS, HP ProBook, HP EliteBook, DELL Vostro, DELL Latitude, Lenovo ThinkPad, Microsoft Surface, Apple MacBook など

デスクトップPC

デスクトップPCで表計算や文書作成をする場合、スペックはほぼ気にしなくてよいです。一般的な個人用のPC、または法人用のPCを導入すれば問題ありません。少しゲームも遊びたいなど、ゲームでの利用を予定しているのであれば高性能なPCにしたほうが良いです。

具体的な機種

HP ENVY, HP Pavilion, HP ProDesk, HP EliteDesk, DELL Inspiron, DELL XPS, DELL Vostro, DELL Optiplex, Lenovo ThinkStation, Apple iMac, Apple Mac mini など

ゲーム用途

ノートPC

ゲーム用途の場合は、高性能のグラフィックスカードが必要な場合が多いため、ゲーミングPCを選択するのがベストです。CPUやメモリー容量もゲームで必要になるスペックに設定されています。ゲーミング用途の場合はWindowsマシンの選択がメインになります。(Macでは動作するゲームが少ないため)
ゲーミングのノートPCは種類が少ないため、デスクトップのゲーミングPCも候補に入れたほうが良いかもしれません。

具体的な機種

HP Pavilion Gaming, HP OMEN, DELL ALIENWARE など

デスクトップPC

ゲーム用途の場合は、高性能なグラフィックカードが必要になります。また、サウンドデバイスもゲームに対応したものを利用したほうが良いです。ゲーミングPCを選択すれば、ゲームに必要なスペックのマシンを入手できます。

具体的な機種

HP Pavilion Gaming, HP OMEN, DELL ALIENWARE など

画像処理、動画処理

ノートPC

画像処理、動画処理の場合は一般用途での高性能なスペックのPCにするか、法人用の高性能PCまたは、モバイルワークステーションを選択するのがよいです。Macであれば、MacBook Pro を選択するのが良いです。画像処理の場合は編集する画像の解像度にもよりますが、一般的にメモリーの搭載量を増やすと作業が快適にできます。また、グラフィックス性能も要求されますので、ノートPCであってもビデオカード(GPU)搭載のものを選択するほうが良いです。

具体的な機種

HP ZBook, HP EliteBook, DELL Precision, DELL XPS, Lenovo ThinkPad P, Microsoft Surface, Apple MacBook Pro など

デスクトップPC

画像処理や動画処理の場合は、大容量のデータを扱うため、メモリの搭載量を増やす必要があります。法人用の高性能PCまたは、ワークステーションを選択するのがおすすめです。3DCGなどのアプリケーションでは、高いグラフィックス性能も要求されますので高性能GPUのビデオカードを導入したほうが動作が快適です。また、ディスプレイも通常のディスプレイより大型のディスプレイを用意することをお勧めします。
また、画面のサイズも大きいほうが快適です。画面が大きいと拡大表示の際により広い範囲を表示できます。また、illustrator と Photoshop を同時に起動するなどの利用シーンがある場合も画面が大きいと両方を並べて表示できるなどのメリットがあります。

具体的な機種

HP Z, HP EliteDesk, DELL Precision, DELL XPS, Lenovo ThinkPad P, Microsoft Surface Studio, Apple iMac など

プログラミング

ノートPC

プログラミングの場合は、画像や動画処理ほどメモリ搭載量は多くなくてよいですが、デバッグ作業を快適にするためにはCPUの処理能力が高いほうが作業が快適にできます。一般用途での高性能PC、法人用の高性能PCまたは、モバイルワークステーションを選択するのがよいです。グラフィックス関係のプログラムを開発する場合は、GPUが搭載されているほうが良いです。
PHP, PerlなどのWeb系の開発が中心であれば MacBook Proを選択するのもありです。Windows アプリケーションやASP.NETなどのWindowsのアプリケーションを開発するのであれば、Windowsマシンを選択する必要があります。

具体的な機種

HP ZBook, HP EliteBook, DELL Precision, DELL XPS, Lenovo ThinkPad P, Apple MacBook Pro など

デスクトップPC

プログラミングの場合は、画像や動画処理ほど多くのメモリーは必要ありませんが、開発環境の動作速度やデバッグ作業を快適にするために、CPUの処理能力が高いほうが快適です。また、ディスクアクセスも多いため、SSDを選択するのもありです。一般用途での高性能PC、法人用の高性能PCまたは、ワークステーションを選択するのがおすすめ。グラフィックス関係のプログラムを開発する場合は、GPUが搭載されている必要もあります。
PHP, PerlなどのWeb系の開発が中心であれば Mac miniやiMacを選択するのもありです。Windows アプリケーションやASP.NETなどのWindowsのアプリケーションを開発するのであれば、Windowsマシンを選択する必要があります。
また、画面サイズは大きいものを用意したほうが快適です。コードを一画面に多く表示でき俯瞰できることや、デザイン画面とコード画面を並べた作業やデバッグのしやすさなど、画面が大きいと快適です。

具体的な機種

HP EliteDesk, HP Z, DELL Optiplex, DELL Precision, DELL XPS, Lenovo ThinkPad P, Apple iMac など

DAW (音声処理)

ノートPC

音声処理の場合もサウンドファイルなど大容量のデータを扱うことが多いため、高性能でメモリ搭載量の多いPCを選択するのがおすすめです。法人用の高性能PCまたは、モバイルワークステーションを選択するのがよいです。音楽関係は、Macのみでしか動作しないアプリも多いため、MacBook Proを選択するのもありです。

具体的な機種

Apple MacBook Pro, HP ZBook, HP EliteBook, DELL Precision, DELL XPS, Lenovo ThinkPad P など

デスクトップPC

音声処理の場合もサウンドファイルなど大容量のデータを扱うことが多いため、高性能でメモリ搭載量の多いPCを選択するのがおすすめです。法人用の高性能PCまたは、モバイルワークステーションを選択するのがよいです。音楽関係は、Macのみでしか動作しないアプリも多いため、iMacを選択するのもありです。

具体的な機種

Apple iMac, HP EliteDesk, HP Z, DELL XPS, DELL Precision, Lenovo ThinkPad P など

法人用と個人用の違い

PC購入の際に法人用と個人用で分かれていますが、以下の違いがあります。

保証期間

個人用のPCより法人用のPCのほうが、保証期間を長くすることができます。個人用PCは1年保証が多いですが、法人用PCは3年保証のものもあります。保証期間が長い分法人用PCのほうが若干価格が高いです。

標準でインストールされるソフトウェア

個人用PCでは、メーカーにもよりますが、便利なツールや体験版のアプリなどがプリインストールされていることがありますが、法人用のPCではプリインストールされているソフトウェアはほとんどありません。法人用途では社内でどのようなアプリを使用するか既に決まっているため、追加のアプリはインストールされていません。

パーツ

法人用PCは保証期間が長いこともあり、電源等のパーツが耐久度の高いものを使っている場合もあります。メーカーやモデルにより状況が違っており、同じパーツを利用している場合もあります。

ワークステーションとPCとの違い

性能の高いPCは「ワークステーション」というカテゴリになっていますが、通常のPCと何が違うかを紹介します。

CPU

一般のPCは CPUはIntel Core i3,i5,i7 というCPUを利用していますが、ワークステーションはワークステーション用の Intel Xeon シリーズのCPUを搭載しています。Intel Xeon シリーズはデュアルプロセッサをサポートしているものもあり、2つ以上のCPUを搭載したマシンもあります。

メモリ

一般のPCはメモリはエラー訂正機能(ECC)なしのメモリが使われますが、ワークステーションはエラー訂正機能(ECC)ありのメモリを搭載しています。メモリ上のエラーを修正できるため安定性が高まります。

グラフィックカード

一般のPCはグラフィックカードを搭載する場合nVidiaであれば、GeForceシリーズのGPUのグラフィックカードが搭載されますが、ワークステーションの場合QuadroシリーズのGPUのグラフィックカードが搭載されます。Quadroシリーズを利用するとCADやCGのアプリケーションに最適化されたドライバを利用でき、GeForceよりも高速に動作します。

ファンなどの排熱機構

ワークステーションは高負荷での処理を想定して設計されているため、ファンの大きさも大きく、数も多いです。一般のPCでは連続した後負荷での処理はあまり考えられていないため、ファンの数はワークステーションよりも少ないです。高負荷で長時間の処理を実行すると、一般のPCではファンの回転数が上がり動作音が大きくなってしまうことがあります。

S-ATAなどのポート数

ワークステーションでは大容量のデータを扱うため、ハードディスクを複数台(6台以上)搭載することができる設計になっているものもあります。一方、一般のデスクトップPCでは筐体のサイズが小さいこともあり、最大でもディスクは4台程度の接続までしかできないものが多いです。
USBポートやPCI-Expressのポートも同様に、ワークステーションのほうがポート数が多い傾向です。
著者
iPentec.com の代表。ハードウェア、サーバー投資、管理などを担当。
Office 365やデータベースの記事なども担当。
最終更新日: 2019-08-17
作成日: 2019-08-13
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