下書き(ラフ)を描いた後、ペン入れをすると画像の印象が大きく変わってしまうことがあります。たいていの場合、見栄えが悪くなることが多いです。ここでは、ラフと完成イメージの印象が大きく異なる問題の対処法を紹介します。
現象の確認
どういった現象が起きるかを確認してみます。
とある初心者のラフ画像です。(画像全体に目がいくように、目、鼻、口を潰してあります。)
上図のラフ画像に実線を描画します。(いわゆるペン入れ)
ラフ画像と比較すると線が整理されているのは良いですが、すっきりしすぎて見栄えはあまりよくないです。
原因
上記の現象が発生する理由として
- ラフのほうが線が多いため、画面がにぎやかに見える
- ラフは複数の線で描かれており、線が太く見える傾向になるため、印象が強い
- ラフの意図せず描いた余計な線で服の皴や汚れ、凹凸、物の厚みを表現してしまっている
- ラフは複数の線で描かれており、線が太くなる傾向にあり、また、ラフの意図せず描いた余計な線で陰影が表現されてしまっている
- ラフは複数の線で描かれており、正しい線を人間側で選んでしまっている
が挙げられます。
対策
書き込みを増やす
対策の一つとして、描きこみを増やす方法があります。服の皴や陰影を描きこみます。また、服の模様や小物を描きこむことで線数を増やすことでラフに近い見栄えにすることができます。ただし、描きこみ過ぎるとリアルになりすぎたり、汚れて見えてしまうなどの弊害が出るため注意してください。
ラフの線数を減らす
もう一つの方法はラフの線の数を減らす方法です。描画にかかる時間を短縮したり、正しい線を簡単に取り出せるようになるメリットもあることから、ラフの線数を減らす方法がおすすめです。
線数の減らし方ですが、まず、先の画像でどの場所で線が多いかを確認してみます。
- 顔の輪郭、右頬の部分(下図:A)
- 顔の輪郭、左頬の部分、首、首と肩の付け根(下図:B)
- 肩口(下図:B)
- 目(下図では省略されている)
があります。難しい場所、曲線、処理方法がよくわからない場所で何度も線を引いてしまっているため、上記の場所で線が増えてしまっています。
具体的な線の減らし方ですが、以下になります。
- ラフを描く前にあたりをとり、あたりに従って線を描く
- ラフでは細かい部分は描かずに、ざっくり大まかな部分のみ描く
- 間違った線は消す
- ラフでは目は描きこみ過ぎないように
上記を実践しラフを描きなおしたものが下図です。元のラフより線が減らせていることがわかります。
上図のラフに実線を描いたものが下図になります。ラフの状態と印象が大きく変わっていないことがわかります。
ラフの状態で線を増やし過ぎないことでペン入れ後の印象を大きく変えないようにできます。
著者
挿絵などのお絵描き担当。以前はオタクライフにどっぷりつかっていたが、最近は体力が衰えたためかやや引き気味。
現在も趣味で細々と制作活動中。
最終更新日: 2017-09-09
作成日: 2014-05-04