目次

初心者向け文語体の文章(論文)の書き方Tips

"超"初心者向けの文章/論文の書き方のTipsです。

概要


レポートや論文を書いて提出したら、「何が言いたいのかわからない」「文章がそもそもおかしい」などと指摘されてボコボコにされてしまった経験や何ページもレポートを書いたのに評価はいまいちだったという経験があるのではないでしょうか。
(私も何年も「これは文章でない!」「日本語がおかしい!」などボコボコにされてきました。しかも、当人はどこがおかしいのかさっぱりわからなかったりします。)
このページでは初心者向けの文章/論文の書き方のTipsを紹介します。以下のポイントを注意するだけで、(中身がなくても)そこそこまともな文章になります。まともな文章を読ませると読後感が良いので、読者をある程度満足、納得させることができます。

なお、このページでは文章構成については触れていません(文章構成や論旨を組み立てるのは中級者以上のため)。
初心者向けの(日本語の)文章の書き方のTipsを紹介しています。

文章は短くする

→ (×) iPhone,Androidを一例とするモバイル端末は、いつでもどこでもインターネットにアクセスできる環境を我々に提供できるものであり、今や我々の生活に欠かせないものとなり、金融、経済、エンターテイメント等、様々な分野で使われはじめられ、今やスマートフォンの総出荷台数は全世界で1億台以上になっている。

→ (○) iPhone,Androidなどのモバイル端末の普及により、場所を問わずインターネットに接続できる環境が整備されつつある。スマートフォンは金融、経済、エンターテイメント等、様々な分野で使われはじめ、いずれは、我々の生活において必要不可欠なデバイスになると考えられる。現在、スマートフォンの全世界での出荷台数は1億台以上にのぼっている。

長い文章は嫌われる傾向にあるため、文章は「。」を使って一文を短くします。文章が短すぎると幼稚な印象を与えますが、長いよりはましです。

「もの」、「こと」は避ける

例1

→ (△) ハードディスクは情報をプラッタと呼ばれるガラスでできた磁気ディスクに記録するものである。
→ (○) ハードディスクでは情報をプラッタと呼ばれるガラスでできた磁気ディスクに記録する。

一見、上の文章のほうがかっこよく見えるが、「ものである」があることで何が言いたいのかよくわからなくなってしまう印象を受ける。(ハードディスクが記録装置であることを言いたいのか、情報がプラッタに記録されるのかどっちなのかよくわからない。)

例2

→ (△) スマートフォンの多くは画面を指で触れることにより操作をする。
→ (△) スマートフォンの多くは指で画面を触れることで操作をする。
→ (○) スマートフォンの多くは画面を指で触れて操作する。
→ (○) スマートフォンの多くは指で画面に触れて操作する。

一見、上の文章のほうがかっこよく見えるが、「ことにより」があることで文章がまどろっこしく感じてしまう。簡潔に言い切ったほうが印象が良い。

※「~もの」、「~こと」は避けたほうが良い

例3

→ 巻き戻し機能を用いて、映像を任意の位置まで巻き戻すこともできる。
→ (?) 巻き戻し機能を用いて、映像を任意の位置まで巻き戻せる。
上記のように「もの」「こと」を使ったほうがしっくりくる場合もあるので、あまり神経質になる必要はない。

「~すること」は避ける

→ (×) 画像を判断することにより、認識率を高める。
→ (○) 画像を判断し、認識率を高める。

文がくどくなるので「~すること」、「~することにより」は極力避ける。

「~を行う」「~をする」は避ける

→ (×) センサーからの値を取得する都度、計算を行うことにより、実行時間を短縮する。
→ (○) センサーからの値を取得する都度、計算し実行時間を短縮する。

上の文章のほうが「かっこいい」のだが、論文などでは好まれないので注意。商品カタログでは表現が柔らかくなるので、頻繁に使われています。ふだんは使わずに、必要時に意識して使うのが良いと思われます。

→ (カタログなど) センサーからの値を取得した際に計算を行うことにより、実行時間の短縮を可能にしております。

→ (×) 判断を行うことで、ロボットの動作を効率化する
→ (○) 判断しロボットの動作を効率化する

→ (×) 計算し方向の決定を行う。
→ (○) 計算し方向を決定する。

→ (×) テキストボックスに入力された文字列を使い検索をする。
→ (○) テキストボックスに入力された文字列で検索する

動詞がある言葉は動詞を使う、わざわざ名詞を使って「~を行う」という言い回しは避ける。
(副作用として、後で英語に訳すときに楽になる。)

「~をする」の場合も「~」部分が名詞なので動詞を使った表現に変えられないか確認する。

どうしても「~をする」でしか表現できない場合

文章によっては「~をする」でしか表現できない場合もある。その場合は「する」を具体的な動詞に置き換えられるか確認する。

→ XMLの解析をする。
→ ※ 諸事情により「XMLを解析する。」とは書けないとする。
→ XMLの解析を実行する。

「~として」は使い方が難しいので、十分気を付ける

→ (△) 対策方法としては、警告メッセージを表示したり、意図しない操作を防ぐ機構の実装が考えられる。
→ (○) 警告メッセージの表示や、意図しない操作を防ぐ機構の実装により対策する。

「~として」「~としては、」は論文らしい表現になるので多用したくなるが、多くの場合、言い回しは回りくどくなるので、気を付ける。また、主語に対する述語が一致しなくなることも多いので、十分注意したほうがよい。(「~として、…がある」の形を崩さないようにする。)

「~ような」は使い方が難しいので、十分気を付ける

→ (×) ディスクのアクセス頻度を下げるような処理をする。
→ (○) ディスクのアクセス頻度を下げる処理をする。

「~ような」ってどんなような処理なのよ?と思われてしまう。

→ (×) この動物はイルカのような習性を持つ
→ (○) この動物はイルカと同じく超音波により意思を伝える習性を持つ

「ような」ではなく具体的な「何」かをきちんと書く。

→ (×) 実験では図1のようなテーブル構造を用いた。
→ (○) 実験で用いたテーブル構造を図1に示す。

※「~ような」は様態を表す言葉なので、「君の泳ぎはまるで、イルカのようだ。」といった場合にしか使えないと考えていたほうが良い。(論文などの主張文ではまず使えないと考えたほうが良い。)


「~という」を使ったときはちょっと気を付ける

説明不足の可能性や、口語ぽくなったり、言い回しがくどくなることがあるので、読み返して「~という」を使わなくても表現できるかチェックします。

→ (△) 毎朝4時にディスクの断片化を解消するため、デフラグという処理を実行する。
→ (○) デフラグはディスクの断片化を解消する処理である。デフラグは毎朝4時に実行される。

「~すると」を使ったときはちょっと気を付ける

口語ぽくなったり、言い回しがくどくなることがあるので、読み返して「~すると」を使わなくても表現できるかチェックします。「~すると」の場合は「~」の部分に名詞が入っているため、「~する」を動詞にできないかも検討します。

⇒ (?) 敵を発見すると酸を出して攻撃する性質を持つ。
⇒ (○?) 敵を発見し酸を出して攻撃する性質を持つ。
⇒ (○?) 敵の発見時に酸を出して攻撃する性質を持つ。
⇒ (○) 酸を出して敵を攻撃する性質を持つ。

※そもそも「発見する」ことを文章中に書く必要があるかも含めてチェックする。(前の文章の内容を見て判断する必要がある)

⇒ (?) 要素の投入時にノードをソートすると、速度低下の原因となる。
⇒ (○) 要素の投入時のノードのソートは速度低下の原因となる。

「~の~の~の」と「の」が続かないようにする

→ (△) この携帯電話のアンテナの先端のLEDのカバーの材質はガラスである。
→ (○?) この携帯電話のアンテナ先端部のLEDのカバーはガラスでできている。

どうしても「~の~の」と続けてしか書けない場合もあるので、読んで不自然でないか確認する。すんなり読み込める文章ならば「~の」が続いても良しとする。

主語と述語があっているか確認する

→ (×) ハードディスクアクセスのアクセス回数を増やすストレージ内のデータアクセスは、システムの全体的なパフォーマンスを下げることにつながる要因になるため、事前に必要なデータを読み出しておく。

主語述語を抜き出すと、
「ストレージ内のデータアクセスは事前に必要なデータを読み出しておく。」となり、主語と述語がずれている。

→ (△) ストレージ内のデータアクセスは、ハードディスクアクセス回数を増やすためシステムのパフォーマンスを下げる要因になる。そのため、事前に必要なデータを読み出しておきパフォーマンス低下を避ける。

主語述語を抜き出すと、
「ストレージ内のデータアクセスはパフォーマンスを下げる要因になる。」となり、主語と述語があっているが、ちょっと言葉が足りない気がする。頻度に関する記述を主語に入れる必要があるのではと考えられる。

→ (○) ストレージ内の頻繁なデータアクセスは、ハードディスクアクセス回数を増やすためシステムのパフォーマンスを下げる要因になる。そのため、事前に必要なデータを読み出しておきパフォーマンス低下を避ける。

主語述語を抜き出すと、
「頻繁なデータアクセスはパフォーマンスを下げる要因になる。」となり、主語と述語があっている。

「なる」「なった」「~になる」「~になった」を使うときには注意する

→ (△) 近年はCPUの処理速度よりもむしろ処理あたりの電力消費量に注目されるようになった。
→ (○) 近年はCPUの処理速度よりもむしろ処理あたりの電力消費量が注目されている。

「なる」「なった」を使った場合、口語的であったり、適切に言い切っていない文章になる可能性があるため、読み返して本当に必要かチェックする。

→ (△) 拡張スロットの導入により、このパソコンは汎用的になった。
→ (○) 拡張スロットの導入により、このパソコンの汎用性が高まった。

「なる」を具体的な動詞に置き換える。

→ (△) 餌にβカロチンを加えて育てたマウスは、体毛が黄色くなった。
→ (○) 餌にβカロチンを加えて育てたマウスは、体毛が黄色に変化した。

ほとんど好みの問題ですが、「なる」を嫌う人もいます。具体的な動詞に置き換えたほうが良い場合もあります。

→ (△) このアルゴリズムにより、処理速度が3倍速くなる。
→ (△) このアルゴリズムにより、処理速度が3倍になった。
→ (○) このアルゴリズムにより、処理速度が3倍に向上した。

どう「なる」のかを具体的な動詞で説明する。

→ (△) 3DCG技術の進歩により、非現実的なシーンでも映像化できるようになった。
→ (○) 3DCG技術の進歩により、非現実的なシーンの映像化が可能になった。

「なる」「なった」を使う必要がある文章もある。

「~なっている」「~っている」は利用を避ける / 利用の際には十分注意する

※「~している」「~ている」もちょっと気を付ける。

→ (△) 無駄を防ぐため、第1フェーズ終了後に事後処理を実行する。この処理では重複を削除する処理になっている。
→ (○) 無駄を防ぐため、第1フェーズ終了後に事後処理を実行する。この処理は重複を削除する処理である。
→ (○) 無駄を防ぐため、第1フェーズ終了後に事後処理を実行する。この処理により重複を削除する。

「なっている」は使いやすく、「かっこいい」気がするが「何」が「どう」なっているのかわからないケースがあるので、使用を避けたほうが良い。

→ (△) このアプリケーションはマウスを用いた直感的な操作が可能なインターフェースを提供している。
→ (○) このアプリケーションはマウスを用いた直感的な操作が可能である。
→ (○) このアプリケーションはマウスを用いて直感的な操作ができる。

直感的な操作ができることを言いたいのであって、インターフェースは本質的には関係がないので削除する。

どうしても"インターフェイス"を入れたいなら。
→ (○) このアプリケーションはマウスを用いた直感的な操作が可能なインターフェースを持つ。
→ (○) このアプリケーションはGUIのインターフェイスを持ち、マウスを用いた直感的な操作が可能である。
→ (○) このアプリケーションはGUIのインターフェイスを持ち、マウスを用いて直感的な操作ができる。
とする…が何が言いたいのかよくわからなくなる。

→ 実験に使われた装置内部の周囲には中心を向いた16枚の鏡が設置されている。
→ 実験に使われた装置内部の周囲には16枚の鏡が設置されており、各鏡は中心を向いている。
「~ている」「~ており」が使われているが、文章は不自然ではないので、極端に神経質になる必要はない。

響きが良いだけで「~される」「~されている」を使っていないか?

→ (?)本システムは、動的にデータ構造を変更し、ネットワークに負荷を与えないように構成されている。
→ (○?)本システムは動的にデータ構造を変更し、ネットワークへの負荷を与えない構成をとる。
→ (○)本システムは動的にデータ構造を変更し、ネットワークへの負荷を低減する。

なんとなく響きが良いので、一番上の文のように「~される」「~されている」を使ってしまうことがありますが、「~される」は受け身なので、誰によってされるかが明確な場合だけに限ったほうが良いです。

→ (?) 本アプリケーションは利用者が容易な操作を可能とするため、GUIインターフェースが提供されている。
→ (○) 本アプリケーションは利用者が容易に扱えるGUIの操作画面を持つ。

「~提供されている」などは危険な言い回しです。注意しましょう。

そんなこと言ったって

→ (?)本システムは、動的なデータ構造の変更により、ネットワークに負荷を与えないように構成されている。

せんせい「これは、受け身になっているけど、「システムは構成されている」誰によってかね?」
オイラ「…このシステムを作ったのは著者なので、我々、著者です。」
せんせい「……」
せんせい「それは、この文章であえて言う必要のあることなのかね?」

この会話のように、適切でない受け身の表現でも「誰によってされるか」を決定することはできますが、ここで本当に言いたいのは、別の動詞を選択してもっと文をシンプルにすべきだということを言っています。「構成する」という動詞の選択が疑わしいのです。

→ (○) デフラグは朝4時に実行される。
→ (?) サーバーはデフラグを朝4時に実行する。

この場合は「実行する」より適切な動詞がないので「実行する」を動詞にします。能動態にすると「サーバー」という主語を入れなくてはいけないので、受動態にして自明な主語は省略します。能動態にするか受動態にするかの選択はネイティブ日本人ならば感覚でできるので問題ないはずです。むしろ適切な動詞を選択しているかに気を使ったほうが良いです。

「など」はほどほどに

→ (△) iPhoneなどのスマートフォンでは、多くの場合wifi接続がサポートされている。
→ (○) iPhone,Android,Windows Phoneなどのスマートフォンでは、多くの場合wifi接続が可能である。

"iPhone"1個しか例がないのに「など」と言われても…?
「など」は便利ですが、文章中にたくさんあると印象が悪くなります。「~を一例とする」やいくつかの例を書いて「など」を書かないのも手です。

→ C++, C#, Delphi, Javaといったプログラミング言語では…
→ "Aquos","Bravia"を一例とする日本のテレビブランドは世界においても認知度は高く…

"横文字"は本当に正しいのか?

→ (?) iPhone,Android,Windows Phoneなどのスマートフォンでは、多くの機種でwifi接続がサポートされている。
→ (△) iPhone,Android,Windows Phoneなどのスマートフォンでは、多くの機種でwifi接続をサポートしている。
→ (○) iPhone,Android,Windows Phoneなどのスマートフォンでは、多くの機種でwifi接続が可能である。

横文字を使うと「かっこいい」のだが、たいてい失敗する。
上記の例も「サポートする」という表現を使っているが、まず、"support"の意味が正しいか確認する。"support"の本来の意味は「支持する」なのでこれでよいのか確認する。また、動詞しかとらない横文字の場合には名詞的に使わないほうが良い。("support"は動詞と名詞をとりうるので、使って問題はなさそう。)
「サポートされる」と受け身で書いてあるが、誰によってサポートされるのか?(スマートフォンメーカー?キャリア?スマートフォン自身?)はっきり言い切れない場合は受け身を使わないほうが良い。

→ (○) iPhone,Android,Windows Phoneなどのスマートフォンでは、多くの機種でwifi接続に対応している。
と書いても良いですが、個人的にこの表現は好きではないです。この辺は好みの問題です。

そんなこと言ったって

実際「iPhoneはUSB接続をサポートしている」などの表現を見かけます。"support"には「 《システムが, ある規格のものを》 扱うことができる, サポートする, 対応している.」という意味もあります。が、そもそもこのような部分でケチをつける人は横文字の表現が好きではないので、日本語に変えたほうが無難です。

※普通に文章を書く場合はそこまで気にする必要はないかと思われます。
 

→ (?) 今後必要となるサーバー台数をestimateすることにより、費用の効率化を図りたい。
→ (○) 今後必要となるサーバー台数を見積もり、費用の効率化を図りたい。

仕事のできる男は、会話でも文でも横文字を多用する。と言われたこともありましたが。きわめて怪しい見解だと思っています。

→ (?) データベースから取り出したクエリワードを用いてWebサーチをすることにより、目的のWebペ-ジを取得する。
→ (○?) データベースから取り出したクエリワードでWebサーチし目的のWebペ-ジを取得する。
→ (○) データベースから取り出したクエリワードでWebを検索し、目的のWebページを取得する。

2番目の文ならば問題ないのですが、読んでみるとしっくりこないので、私なら3番目の文に直します。日本語では横文字を動詞的に使うことが難しいので「"横文字"する~」という表現になり冗長になってしまいます。横文字の動詞はやめておいたほうが無難です。

→ ハードウェアとソフトウェアのインテグレートが今後は重要になる。
→ ハードウェアとソフトウェアのインテグレーションが今後は重要になる。
→ ハードウェアとソフトウェアの統合が今後は重要になる。

適切に横文字を利用するのは問題ない。神経質に横文字の利用を避ける必要はない。(ただし人によってですが、フォーマルな文章では横文字のないほうが好まれます。"integrate"は動詞なので一番上の文章はダメ!という人もいます。)

→ (×) 中央演算処理装置の消費電力よりもむしろ、電子計算機の格納施設内における空調設備の電力消費量の削減が今後の課題である。
→ (○) CPUの消費電力よりもむしろ、データセンターにおける空調設備の電力消費量の削減が今後の課題である。

過ぎたるは及ばざるがごとし、一般的になっている横文字や横文字でしか表現できない言葉の場合は積極的に使ったほうがよい。多くの場合、名詞として使うことになる。

「用いて」「利用して」「使い」は本当に必要か確認する

→ (?) コンシューマーキーとシークレットキーを用いて生成したシグネチャーをリクエストパラメータに付与する。
→ (○) コンシューマーキーとシークレットキーから生成したシグネチャーをリクエストパラメータに付与する。

上の文章のほうが「かっこよく」見えるが「用いて」は必要ないので削ったほうが良い。
「用いて」「利用して」「使って」「取得して」といった言葉を使うときは本当に必要が確認する。

例 

→ 演算モジュールに要求を送信する際には演算情報と署名コードを送信する。署名コード生成には利用者の認証IDとパスワードを用いる。
この場合は「用いる」があってもよさそうです。

「~する形になっている」は利用を避ける

→ (×) ユーザーからの入力に応じて適切なメッセージを出力する形になっている。
→ (○) ユーザーからの入力に応じて適切なメッセージを出力する。

※形ってどんな形ですか?5角形ですか?
上の文章のほうが様になっているように見え(響きが良い)、ついつい書いてしまう場合があるが、この表現は問題があるので直す。

主語を補ってみるとおかしいことがわかる。
→ (×) 本システムは、ユーザーからの入力に応じて適切なメッセージを出力する形になっている。
→「本システムは形になっている。」

「それ」「これ」「この」「それら」などの指示語の利用は注意

指示語の指す内容が明確にわかる場合に限り使うのが良いです。多用すると口語的ではなくなるので「上記の~」「先に述べた~」という表現を使うのも手です。

必要なことが書かれていない

一番多いのが、説明しなくてはいけないことが書かれていない。というものです。個々の文章の状況により対応方法が変わる(ケースバイケースになる)ので、今回は省略します。(説明もできないです。)
文章を読む読者を想定して「どこまで説明するか」を判断するのはとても難しいです。

  • WebブラウザはInternet Explorer以外にもFirefox, Opera, Safari, Chromeなどがあります。
パソコンをそれなりに使いこなしている人は上記の説明で十分ですが、パソコンをほとんど知らない人には不十分です。
  • インターネット上のWebサイトを閲覧するためには、Webブラウザと呼ばれるソフトウェアを使う必要があります。WebブラウザはMicrosoft社が提供するInternet Explorer以外にも, Firefox, Opera, Safari, Chromeといった他社が提供するWebブラウザもあります。
新聞を読んでいれば、インターネット、Microsoft、Webサイトはわかるはずですので、上記で十分ですが、新聞すら読んでいない人や未開の発展途上国の人、小学生に説明する場合はさらに説明を追加する必要があります。

特殊な単語は最初に出てきた時点で説明する

複雑な説明は文章での表現をやめ、箇条書きや表、図を使った説明にする

文章だけの表現で頑張る必要はないです。書くのが難しいなと感じたら箇条書きや図を使うのも手です。

→ まず、卵を3つ準備する。次に卵の殻を割り白身のみをボウルに入れる。ボウルに卵が入れられたら、泡立て器で素早くかき混ぜ、中身を泡立てる。かき混ぜると泡が立ち始めるので、グラニュー糖を一つまみボウルに入れる。さらに、角が立つ程度粘りが出たところで残りのグラニュー糖をボウルに入れゆっくりかき混ぜる。

→ メレンゲは以下の手順で作る。
  1. 卵を3つ用意し、殻を割り白身のみをボウルに入れる。
  2. 素早く泡だて器でかきまぜ、ボウルの中身を泡立てる。
  3. 泡が立ち始めたら、グラニュー糖を一つまみボウルに入れてかき混ぜる。
  4. 角が立つ程度粘りが出たら、残りのグラニュー糖をボウルに入れ、ゆっくりかき混ぜる。

難しい処理は、文章での説明も難しくなります。フローチャート、図、箇条書きを駆使して、なるべく説明を書かない、簡略化することも重要です。

「口語」は第三者が読むと読みにくい(見苦しい)

元の文章

→ (×) かなり厚い本で3cmくらいあります(ちなみにマニュアルは、2冊で15Cmくらいあるそうだ)。その分一通りの機能について、ざっと説明があるのでまあ役立つことと思います。しかし、3D Studio MAX の機能についてのくわしい説明までは言及していません。本当に主要な機能を簡潔に説明し、簡単なチュートリアルがついているという感じです。

1回目の直し、口語を直した

→ (△) この本の厚さは3cm程度あり、かなりの厚さです(マニュアルは2冊で15cmもの厚さがあります)。この本は3D Studio MAXの一通りの機能について説明があるため概要を把握するのに役立ちます。しかし、3D Studio MAXの詳細な機能の説明までは言及されていません。主要な機能の説明と簡単なチュートリアルが掲載されているのみです。

  • 「~くらい」の口語を直す
  • 「~そうだ」の伝聞の口語を直す
  • 「その分」の口語を直す
  • 「ざっと」の口語を直す
  • 「まあ役立つ」の口語 (「まあ」ってどの程度よ?)→それなり→3D Studio MAXの概要を理解する程度←(これを文章中に書く)
  • 「感じです。」の口語 (何をどう感じた???) → 「主要な機能と簡単なチュートリアル「しか」掲載されていない。」ことを感じた。←(これを文章中に書く)

2回目の直し

→ (○) この本の厚さは3cm程度あり(マニュアルは2冊で15cmもの厚さがあります)、3D Studio MAXの一通りの機能について説明されているため概要の把握には役立ちます。しかし、主要な機能の説明と簡単なチュートリアルしか掲載されていないため、3D Studio MAXの詳細な機能を知るには他の書籍やマニュアルを参照する必要があります。

  • 「かなりの厚さ」→ "かなり"ってどの程度かわからないので削除
  • 把握するのに → "~するのに" が冗長
  • 最後の2文は短すぎるので1文にまとめる。
  • ~詳細には言及されていない、~が掲載されているのみ。⇒だからどうなのかが書いてない。⇒この本だけでは足りないことを明記する必要があるのでそれを書く

3回目の直し

→ (○) この本は3D Studio MAXの一通りの機能について説明されているため概要の把握には役立ちます。しかし、主要な機能の説明と簡単なチュートリアルしか掲載されていないため、3D Studio MAXの詳細な機能を知るには他の書籍やマニュアルを参照する必要があります。

  • そもそも本の厚さを紹介することに意味があるのか?⇒カット

4回目の直し

→ (○) この本は3D Studio MAXの主要な機能について解説されており、概要の把握には役立ちます。しかし、主要な機能の解説と簡単なチュートリアルしか掲載されていないため、3D Studio MAXの機能の詳細を知るには他の書籍やマニュアルを参照する必要があります。

  • ~ため。~ため と「ため」が続くのでその部分を修正
  • 書籍に記述されている内容は「説明」ではなく「解説」のほうが好ましい。
  • 「詳細な機能」が気になる。⇒機能の細かいところが書籍に書いていないのであって、ソフトウェアの中の詳細部分に機能があるわけではない⇒「機能の詳細」に直す。
この辺まで来ると好みの問題になってしまいます。

上記はこのページの文章ですが、書いた当時はノリノリでも口語は第三者が読むと大変読みにくいです。

何を参考にすればよいのか?

しっかりした良い文章を書くためには、「しっかりした良い文章」を読んで参考にすべき。と言われます。

「しっかりした良い文章」ってどこにあるのでしょうか?。たとえば論文を書く場合に、他の人の論文を参考にして文章を書くことがありますが、参考にした論文が「良い文章」である保証はありません。場合によっては、内容は良くても文章はいまいちな論文の可能性もあります。しかし、初心者は文章を読んでもそれが「良い文章」なのか「悪い文章」なのか判断することすらできません。
新聞や文学作品や小説を参考にするのはどうでしょうか?、小説は作家性が強く出ていたり、エンターテイメント色が強いのでレポートや論文の文章の参考にはなりにくいです。(講談社の科学技術系のブルーバックスの一部は参考になります。)新聞も報道のための文章なのでこれも参考にはなりにくいです。
当時、学生だった私はどこに良い文章があるのかさっぱりわかりませんでした。

卒業した後になって、わかったことですがビジネス書の文章は全般的に質が高いです。
  • President
  • 日経ビジネス
などのビジネス系の雑誌を参考にしてみるとよいと思います。科学技術的な内容ではありませんが、マネージメントとは~であるべきである。仕事ができるようになるには~あるべきだ。と読者を説得する文章であることには変わりがありませんので参考になります。読みやすさ重視のため論文ほどのフォーマルさはありませんが参考にするには十分です。

パーフェクトな文章(90点~100点)は書くのが難しい

※重要です。
どんな人でもパーフェクトな文章を書くのは難しいです。90点~100点満点のパーフェクトな文章は何度も何度も読み返して修正しないと書けません。いきなり、パーフェクトな文章を書こうとすると手が動かなくなってしまうので、最初は普通に(お気楽に)書いて、後で直したほうが効率的です。

文章書きも練習の積み重ねで上達していくと言われています。慣れてくると1度目の文章を書いた時点で60点~80点の文章を書けるようになるので、まずはそのレベルを目指すのが良いと思います。

最後は好み

このページで紹介しているTipsを実践してレポートや論文を書いても、まだボコボコにされてしまうことでしょう。ただ、今までは途中で不機嫌になって最後まで読んでくれなかったものを、最後まで読んでくれるかもしれません。何かを表現する文章一つとってみても、いろいろな書き方ができます。文章も最後は好みになってしまうので、ボコボコにされたからと言って、あまり深く考えすぎないほうが良いかもしれません。


著者
iPentec Document 編集部
iPentec Document 編集部です。
快適な生活のための情報、価値のある体験やレビューを提供します。
最終更新日: 2024-01-06
作成日: 2011-06-18
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