宇宙の中心と宇宙の膨張

「宇宙は膨張している」と一般的に言われています。 宇宙がだんだん大きくなっているということは、最初は宇宙はものすごく小さく始まりの場所があるはずなのでは? と考えましたが、一般的には宇宙の中心は無い(すべてが宇宙の中心)と言われています。

単純なイメージ

図で考えてみます。わかりやすくするために2次元の平面的に書いてみます。
膨張しているということは、最初にものすごく小さい宇宙の始まりがあったことになります。(ビッグバンなどと呼ばれています。)


宇宙の始まりの場所から、宇宙の膨張が始まり領域が増えていきます。


だんだん領域が大きくなります。


どんどん広くなります。わかりやすくするためにグリッドの線も入れています。


外側に向かって領域が広がっていきます。


この状態まで大きくなったとします。


今、赤丸の場所に観測者(自分)がいると想定すると、宇宙の始まりの場所があり、ある方角に宇宙の中心があるのでは?と考えられます。

遠いものほど早く遠ざかる

観測結果から、この宇宙では遠いものほど速く遠ざかっていることがわかっています。 先ほど紹介した例では、境界が広がるため、離れているものとの距離は宇宙の膨張に応じて遠ざからず、一定の距離のままとなってしまいます。
そのため、境界が広がっているのではなく、全体が膨張していることが推測できます。

最初の状態から膨張が始まりますが、外側の境界が広がるのではなく全体が膨らみます。


わかりやすくするためにグリッドの線が入っていますが、グリッドの数は変わらずに、全体が拡大されて空間が膨張するイメージです。


この膨張であれば、中心の黒点から遠い位置ほど速く遠ざかっているモデルになります。


膨張していく宇宙の下図の2つの状態を比べてみます。


中心の観測者(自分)の位置から遠い場所ほど速く遠ざかることがわかります。


宇宙は外側の境界が広がっているのではなく、全体が膨張しており、 宇宙の果ての空間も、地球の周囲の空間も、自分が今いる手元の空間も膨張していることになります。
膨張していることが実感として感じられないのは、膨張の速度がそれほど速くないこと、空間の膨張で物体を引き離す力より、 重力で引き合う力のほうが強いためと言われています。

中心に見える?

地球から宇宙を観測すると、どの方向に向かっても138億光年を観測することができます。(最も遠い観測された天体が 134億光年先のもの)
実際の距離では、465億光年になります。
もし、境界に近い部分に地球があれば、ある方向に向かっては観測できる距離が短くなってしまいますが、そのような状況にはなっていないため、観測可能な宇宙に比べて宇宙の大きさが 十分大きいことが示唆されています。

境界はあるのか?

ここで疑問に思うことは、膨張している宇宙の境界はあるのか?という点です。 現在の遠方の宇宙の膨張速度は光速よりも速くなっており、遠方の宇宙を観測することはできない状況です。そのため宇宙の境界も観測できません。 (宇宙の端の光が地球に届くことはない。)

宇宙の境界はどうなっているのでしょうか?

1:観測できないのであれば存在しない

観測できないのであれば存在しないことと等しい。という考え方です。
物理的な影響も光速で伝わるため、境界でどのようなイベントが発生したとしても、地球(観測者)には影響を与えることができないため、存在しないという立場です。

ただし、この案を採用した場合、境界に近い場所で観測したらどうなのか?という疑問は残ります。(地球にいる観測者にとっては存在しないとしても、宇宙の境界に近い場所に、何らかの観測者がいるかもしれないという疑問です。)

2:境界はない 空間がループしている

先ほど紹介した2次元での宇宙空間を考えます。


この2次元の平面が球体の表面であると考えます。 宇宙の膨張は球体が膨張すると考えます。このモデルであると、球体の表面でのどの点でも膨張に従って遠くのものほど速く遠ざかります。


実際の宇宙空間は3次元ですので、4次元(あるいは4次元以上)の空間が膨張することでその表面にある3次元空間が膨張することになります。 このモデルを採用すると、ある方向にずっと進み続けると最初にいた場所に戻ってきてしまうことになります。 (3次元空間である方向に進み続けると最初の場所に戻ってきてしまうという現象は受け入れ難いと思います。)

また、遠くに見える星の光が、実は宇宙を一周してきており、その光を観測している可能性もあります。 もし、この現象が存在するとすれば、観測可能な宇宙が全宇宙より小さいことになってしまいます。(直感的に観測可能な宇宙より全宇宙が小さいことはなさそうに感じますが、可能性としてはあり得ます。)

しかし、この4次元(以上の)球体が、観測可能な宇宙の範囲(3次元空間で134億光年)より十分大きければ、光が一周して元に戻る状況を防げるため、つじつまが合う可能性があります。
(膨張速度が加速し、光速で元の地点に戻ることが不可になるまでは、暗黒期間としておいて観測不能にしておけばよい。)

3: 境界はない もともと無限の領域がある

先に紹介した2次元の空間が広がるイメージとは全く異なる考え方で、ビッグバンの時点から空間には無限の広さがある。という考えです。

4:境界はある

下図の2次元での宇宙の図と同様に境界がある考えです。境界に近い場所では観測できる宇宙に偏りができてしまいます。(このモデルであった場合、少なくとも地球からは観測できる範囲に偏りがないため、境界の近傍ではないことがわかります。)
このモデルの場合、直感的ではありますが、宇宙の境界とは何か、宇宙の境界がどのような状態か、さらに、境界の外がどのような状態かを考える必要があります。(宇宙の外側が空虚なのかソリッドなのか、空間がないとはどんな状態なのか? など)


空間の膨張に関するあれこれ - 空間と何なのか?

これまでを踏まえると、遠くのものほど速く遠ざかることから、宇宙は空間全体が膨張していることが推測できそうです。
下図の2つの状態を例にすると、空間が時間の経過とともに膨張することがわかります。


この時グリッドの一つを取り出します。このグリッドの空間には中には何も物質がない状態を想定します。 この状態で比較すると、あるサイズの空間が時間の経過とともに膨張していることになります。 体積(大きさ)が増加しているのであれば、直感的には何かの密度が下がる(空間のエネルギー準位?が下がる)、あるいは何かが失われているように考えられます。 ただし内部には物質がない状態のため、一般的な物質や熱ではないと考えられます。


ダークエネルギーと呼ばれる存在が空間の膨張に関係しているといわれる説がありますが、詳しい解明はこれからかと考えられます。
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