Blazor アプリケーションにボタンを配置してクリックイベントを実装する
Blazor アプリケーションにボタンを配置してクリックイベントを実装する手順とコードを紹介します。
手順 (.NET 6)
事前準備
Blazorアプリケーションを作成し、ルーティングコンポーネント、フォールバックページ(ホストページ)、メイン画面(ページ)のRazorコンポーネントを作成します。今回は "SimpleButtonNET6" というプロジェクト名で作成しています。プロジェクトの作成手順の詳細は
こちらの記事を参照してください。
Program.cs ファイルの記述
Program.cs ファイルは基本のBlazorアプリケーションのコードのままで問題ありません。
app.UseStaticFiles();
を忘れないよう注意します。
フォールバックページの追加
フォールバックページを追加します。ファイル名は "_Host.cshtml" にします。
<script src="_framework/blazor.server.js"></script>
の記述を忘れないでください。このJavaScritptファイルへの参照がないと正しく動作しません。
@page
@namespace SimpleButtonNET6.Pages
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
</head>
<body>
<app>
@(await Html.RenderComponentAsync<App>(RenderMode.ServerPrerendered))
</app>
<script src="_framework/blazor.server.js"></script>
</body>
</html>
App.razor / _Imports.razor ファイルの追加
App.razorと_Imports.razor ファイルを追加します。_Imports.razor は using を集約するファイルです。
詳しくは
こちらの記事を参照してください。
@using System.Net.Http
@using Microsoft.AspNetCore.Authorization
@using Microsoft.AspNetCore.Components.Authorization
@using Microsoft.AspNetCore.Components.Forms
@using Microsoft.AspNetCore.Components.Routing
@using Microsoft.AspNetCore.Components.Web
@using Microsoft.JSInterop
<Router AppAssembly="@typeof(Program).Assembly">
<Found Context="routeData">
<RouteView RouteData="@routeData"/>
</Found>
<NotFound>
<LayoutView>
<p>Sorry, there's nothing at this address.</p>
</LayoutView>
</NotFound>
</Router>
Index.razor ファイルの追加
アプリケーションの画面のIndex.razorファイルをPagesディレクトリに追加します。
ボタンは
button
タグで表現します。クリック時に実行するメソッド名を
@onclick
属性に指定します。~
ボタンのクリックにより、'@code' ブロックの ButtonClick() メソッドが呼び出され実行されます。ButtonClickメソッド内では、messageText 変数にボタンが
クリックされた旨のメッセージを代入しています。
@page "/"
の記述により、アプリケーションルートのURLにアクセスすると、Index.razorページのコンテンツが表示されます。
@page "/"
<h3>Index</h3>
<div>
<button @onclick="ButtonClick">Button1</button>
<p>@messageText</p>
</div>
@code {
string messageText;
void ButtonClick()
{
messageText = "ボタンがクリックされました。";
}
}
実行結果
プロジェクトを実行します。Webブラウザが起動し、アプリケーションルートのURLにアクセスし、下図のページが表示されます。
Index.razorファイルのコンテンツが表示されます。
[Button1]をクリックします。ボタンがクリックされた旨のメッセージがページ下部に表示されます。
ボタンのクリックにより、
ButtonClick()
メソッドが実行され、messageTextに代入された文字列がページに表示される動作が確認できます。
手順 (.NET Core / .NET 5)
事前準備
Blazorアプリケーションを作成し、ルーティングコンポーネント、フォールバックページ(ホストページ)、メイン画面(ページ)のRazorコンポーネントを作成します。今回は "SimpleButton" というプロジェクト名で作成しています。プロジェクトの作成手順の詳細は
こちらの記事を参照してください。
画面のIndex.razorの@page ディレクティブには "/" を指定し起動時に表示される画面に設定します。
SignalRを利用できる状態にする
ボタンのクリックイベントなどを取得できるようにするため、SignalRを利用できる状態にします。
Startup.cs ファイルのConfigureメソッド内に
app.UseStaticFiles();
を記述してフレームワークのJavaScriptなどのライブラリが利用できる状態にします。
using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Threading.Tasks;
using Microsoft.AspNetCore.Builder;
using Microsoft.AspNetCore.Hosting;
using Microsoft.AspNetCore.Http;
using Microsoft.Extensions.DependencyInjection;
using Microsoft.Extensions.Hosting;
namespace SimpleButton
{
public class Startup
{
// This method gets called by the runtime. Use this method to add services to the container.
// For more information on how to configure your application, visit https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkID=398940
public void ConfigureServices(IServiceCollection services)
{
services.AddRazorPages();
services.AddServerSideBlazor();
}
// This method gets called by the runtime. Use this method to configure the HTTP request pipeline.
public void Configure(IApplicationBuilder app, IWebHostEnvironment env)
{
if (env.IsDevelopment()) {
app.UseDeveloperExceptionPage();
}
app.UseStaticFiles();
app.UseRouting();
app.UseEndpoints(endpoints =>
{
endpoints.MapBlazorHub();
endpoints.MapFallbackToPage("/_Host");
});
}
}
}
続いて、フォールバックページに
<script src="_framework/blazor.server.js"></script>
を記述し Blazor Server のJavaScriptを読み込みます。
@page
@namespace SimpleButton.Pages
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<base href="~/" />
</head>
<body>
<app>
@(await Html.RenderComponentAsync<App>(RenderMode.ServerPrerendered))
</app>
<script src="_framework/blazor.server.js"></script>
</body>
</html>
ボタンの追加
画面にボタンを追加します。メインのページのIndex.razor ファイルを編集します。
@using Microsoft.AspNetCore.Components.Web
のusingを追加しボタンコントロールが利用できる状態にします。このusingを記述しない場合はbuttonタグはHTMLのボタンコントロールになり、@onclick属性が動作しません。usingを追加することでASP.NET Core のコンポーネントとして利用可能になります。
buttonタグでは @onclick属性を記述します。値にはクリックにより呼び出しされる関数名を記述します。下記のコードではボタンがクリックされると ButtonClick 関数を呼び出す動作になります。
@codeディレクティブ内にボタンがクリックされた際に実行されるコードのButtonClick関数を記述します。今回のコードでは string型のmessageText変数に「ボタンがクリックされました。」
の文字列を代入しています。messageText変数はページのボタンの下部の段落
<p>@messageText</p>
のコードにより、変数の値がページに表示される動作になっているため、ボタンをクリックするとボタンの下に「ボタンがクリックされました。」のメッセージが表示されます。
@page "/"
@using Microsoft.AspNetCore.Components.Web
<h3>Index</h3>
<div>
<button class="" @onclick="ButtonClick">Button1</button>
<p>@messageText</p>
</div>
@code {
string messageText;
void ButtonClick()
{
messageText = "ボタンがクリックされました。";
}
}
実行結果
プロジェクトを実行します。Webブラウザが起動し、下図のページが表示されます。Indexの文字列とボタンが表示されています。[Button1]のボタンをクリックします。
ボタンをクリックするとボタンの下部に「ボタンがクリックされました。」のメッセージが表示されます。
検証
文字列がクライアントで処理されていないか、サーバーから送信されているかを確認します。ページのソースを表示してみます。
ページのソース中には「ボタンがクリックされました。」の文字列は無いことが確認できます。
続いてサーバーから送信されていることを確認します。開発者ツールでネットワークアクセスの状況を確認します。ボタンクリック時にページリロードがないことやコネクションが新たに発生しないことから、websocketのコネクションが画面の情報をやり取りしている可能性が高そうです。
WebSocketのコネクションの詳細を確認します。送受信が行われていることが確認できます。
ボタンをクリックすると送受信が発生しますので、WebSocketで情報のやり取りがされていることがわかります。
それらしい受信メッセージを確認します。文字列のやり取りがあるように見えます。日本語の文字列のため、エンコードされているためよくわかりません。
画面に表示するメッセージをASCII文字に変更して再度確認してみます。WebSocketの受信データの中に設定したメッセージの文字列が含まれていることが確認できます。画面に表示される文字列はWebScoket経由でサーバーから送信されていることが確認できました。
著者
iPentecのメインプログラマー
C#, ASP.NET の開発がメイン、少し前まではDelphiを愛用