Character Animator を利用して音声ファイルに合わせて キャラクターにリップシンク(口パク)させる

Adobe Character Animator を利用して、セリフの音声ファイルに合わせてキャラクターに口パク(リップシンク)させる方法を紹介します。
補足
Character Animatorを使用しない方法はこちらの記事を参照してください。

手順1: キャラクターの作成

はじめに、リップシンクで口パクさせるキャラクターを作成します。Illustratorで下図のキャラクターを作成しました。


今回はリップシンクのみ実装するため、口のパーツを複数用意しています。


レイヤーの構造は次の通りです。
最上位に[Girl]のレイヤーを作成し、[Head]サブレイヤーを作成しています。(サブレイヤーの作成手順はこちらの記事を参照してください)
Headサブレイヤー内に[+Mouse]サブレイヤーを作成しています。レイヤー名の先頭に "+" を入力することで、 動きのあるレイヤーとCharacter Animatorに認識させることができるため、"+Mouse" の名称にしています。
[+Mouse]レイヤーの内部に[Neutral] [Ah] [D] [Ee] [F] [L] [M] [Oh] [R] [S] [Uh] [W-Oo] のサブレイヤーを作成しています。 サブレイヤーの名称を合わせておくことで、Character Animatorに読み込んだ際に自動的にタグを割り当てできるため、 サブレイヤーの名称は揃えておくのがおすすめです。
[Neutral]などのサブレイヤー内に口の形状のパスは入っています。


[Neutral]サブレイヤーの口は下図です。


[Ah]サブレイヤーの口は下図です。


[D]サブレイヤーの口も下図です。Ahサブレイヤーと同じです。


[M]サブレイヤーの口はNeutralと同じにしました。


[Oh]レイヤーの口は下図です。


[Uh]サブレイヤーの口はNeutralと同じにしました。


[L]レイヤーの口は下図です。少し小さい口にしました。


他のレイヤーは[Ah]サブレイヤーの口と同じ形状にしています。

Illustrator形式(.ai)でファイルを保存します。

手順2: 口のパーツの設定

キャラクターの読み込み

Character Animatorでキャラクターを読み込み、口のパーツの設定をします。

Character Animator を起動します。下図のウィンドウが表示されます。


[ファイル]メニューの[新規プロジェクト]の項目をクリックして、新しいプロジェクトを作成します。


新しいプロジェクトが作成できました。下図の画面が表示されます。


[ファイル]メニューの[読み込み]の項目をクリックします。


[読み込み]ダイアログが表示されます。先ほどIllustratorで作成したキャラクターのファイルを選択して読み込みます。


ファイルが読み込まれると、左上の[プロジェクト]パネルに[パペット]の項目が表示されます。"char"の名称で表示されています。


パーツの設定

上部のタブの[リグ]の項目をクリックして[リグ]の編集画面に切り替えます。



プロジェクトパネルの"パペット"の項目をダブルクリックします。読み込んだキャラクターが表示されます。


中央のエリアの左側にレイヤー構造が表示されます。Mouseレイヤー内に口のパーツのレイヤーが配置されている状態が確認できます。


[Neutral]のレイヤーをクリックして選択します。右側の[タグ]パネルの口のパーツの[ニュートラル]の項目が青で表示され、 このレイヤーにタグ付けができていることが確認できます。


[Ah]のレイヤーをクリックします。右側の[タグ]パネルの口のパーツの[Ah]の項目が青で表示されています。


それぞれのレイヤーをクリックして選択し、タグ付けがされていることを確認します。



口のパーツのレイヤーは読み込み時に自動でタグ付けできていましたが、口全体のレイヤーがタグ付けされているか確認します。 [Mouse]レイヤーをクリックして選択します。右側の口の部分が青色にならないため、タグ付けできていない状態であることがわかります。


右のエリアの[タグ]パネルの口の部分(下図オレンジ色の点線で囲んだ部分)をクリックします。


クリックすると、青色に変わりタグ付けができたことが確認できます。画像のキャラクタ上にも[口グループ]の表示が追加されます。


レイヤーの最上位の[char]の項目(下図のオレンジ色点線部分)をクリックします。下図の画面に切り替わります。


右側のエリアの[ビヘイビアー]パネル内の[リップシンク]の項目を展開します。下図の画面が表示されます。


[リップシンク]の各項目の右側の数値が "1" 以上の値になっていることを確認します。また、各項目を展開すると、それぞれのパーツに対応付けられている レイヤー名が表示されることも確認します。

シーンの作成

ウィンドウの上部のリグのタブの右側にある[録画]タブをクリックします。下図の画面に切り替わります。


プロジェクトパネルの作成したパペットの項目をシーンのパネルにドラッグ&ドロップします。


パペットをドロップすると下図の表示になります。かなりキャラクターが小さく表示されています。


[Ctrl]キーを押しながら、マウスホイールを回転させるとシーンの画面を拡大できます。また、マウスの中ボタン、またはマウスホイールを押した状態で、 マウスポインタを移動させると、ビューの移動ができます。拡大して見やすいサイズにすることはできます。
ただし、完成したアニメーションをAfter Effectsにインポートする際に、コンポジションに配置したサイズが小さすぎる、解像度が足りない、などいろいろと不都合が出るため、 キャラクターのサイズを大きくします。

キャラクターのサイズ調整

上部のタブの[リグ]をクリックして選択しキャラクターの編集画面に戻ります。レイヤーの最上位の[char]の項目をクリックして選択します。 右側の[プロパティ]パネルの[パペット]の項目を展開します。下図の画面の表示になります。


[解像度]のコンボボックスをクリックします。下図のドロップダウンリストが表示されます。[デフォルト]の項目が選択されていますが、[高]をクリックして選択します。


レンダリングの解像度が[高]に変わりました。


補足
高解像度に対応できるようにするため、パペットの項目で、[ベクトルとしてレンダリング]をクリックすると良さそうですが、このチェックボックスにチェックをすると、 Illustratorで設定した線幅が無視されてレンダリングされてしまうため、元のキャラクターの印象と若干変わってしまう点に注意が必要です。
ベクトルとしてレンダリングを利用する場合は、線をすべてアウトライン化して、線幅の設定が無い状態にする必要があります。


続いて、右側のプロパティパネルの[ビヘイビアー]の項目内の[トランスフォーム]をクリックして展開します。下図の画面が表示されます。


[トランスフォーム]の中の[スケール]の値を変更します。デフォルトでは "100%" になっていますが、"1000%" に変更します。大きさを10倍にする設定です。 もともとベクタ画像で作画されているため。10倍にしても画像の劣化は起きません。


[録画]タブをクリックして選択し、シーンに戻ります。先ほど小さく表示されていたキャラクターの大きさが大きく表示されるようになりました。


左側のプロジェクトパネルのシーンの項目をクリックして選択します。右側にシーンのプロパティが表示されます。


シーンのプロパティの[幅]と[高さ]の値を変更してキャラクターがちょうど入る大きさにシーンのサイズを変更します。


以上でサイズ変更は完了です。

手順3: リップシンクアニメーションの作成

セリフの音声ファイルから、リップシンクのアニメーションを作成します。
[ファイル]メニューの[読み込み]をクリックします。[読み込み]のファイル選択ダイアログが表示されますので、セリフの音声ファイルを選択して読み込みます。


ファイルを読み込んだ状態が下図です。プロジェクトパネルに "voice-0.wav" "voice-1.wav" "voice-2.wav" の3つの音声ファイルを読み込んでいます。


プロジェクトパネルの音声ファイルの項目をタイプラインパネルにドラッグ&ドロップします。


音声ファイルをドロップするとタイムラインに音声ファイルの項目が追加されます。


タイムラインパネルでキャラクターのレイヤーと音声ファイルのレイヤーを選択した状態で、[タイムライン]メニューの[シーンオーディオからリップシンクテイクを計算] の項目をクリックします。


リップシンクの処理が実行されます。パペットのレイヤーに[リップシンク]の項目が追加され、リップシンクの効果が追加されます。


同じ手順で、別のWavファイルをタイムラインに配置します。


タイムラインパネルで配置したWavファイルのレイヤーとパペットのレイヤーを選択した状態で、[タイムライン]メニューの[シーンオーディオからリップシンクテイクを計算] の項目をクリックします。2つめのWavファイルのリップシンクの処理が始まり、効果が追加されます。


同じ手順を繰り返して3つのWavファイルのリップシンクの処理を追加します。


シーンパネルの下部の再生ボタンをクリックして、動画のプレビューを確認します。 セリフの音声に合わせて、キャラクターが口パクする動作が確認できます。
微妙に音声と口パクがあっていないようにも見えますが、口の形状の種類が少ないためかと思われます。

次の手順

Character Animatorで作成したシーンをAfter Effectsで利用する方法はこちらの記事を参照してください。

動画

今回のデモで作成した動画は以下です。
著者
iPentecのメインデザイナー
Webページ、Webクリエイティブのデザインを担当。PhotoshopやIllustratorの作業もする。
掲載日: 2021-11-14
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