SHURE SM7B のレビュー
SHURE SM7B のレビューです。
入手のきっかけ
快適なWebミーティング環境を求めて試行錯誤した結果、高性能マイクを導入してみることにしました。
いろいろ検討した結果、「ダイナミックマイク」か「コンデンサーマイクのガンマイク」のどちらかを入手することにしました。
最後まで迷いましたが、今回ダイナミックマイクの中でも高性能なマイクとされるSHUREの「SM7B」を入手します。
購入
Amazonでも購入できます。
新発売のプリアンプ付きマイクの SM7dB もあります。
ほかの候補
ダイナミックマイクでのほかの候補は以下になります。
Electric-Voice のRE20 です。定番のダイナミックマイクです。
Electric-Voice のRE27N/D です。
Audio-TechnicaのBP40です。こちらも良さそうです。
パッケージ
パッケージは下図です。
外側の箱に中に下図の中箱が入っています。
ふたを開けると説明書類が梱包されています。
説明書を取り出し、中の発泡スチロールのふたを開けると本体が梱包されています。
本体の左側には大型のウィンドウスクリーンが梱包されています。
内容物一式です。マイク本体、スイッチカバープレート、大型の近接用ウインドスクリーンが含まれています。
何かのバンド(?)が入っています。
説明書一式です。ステッカーも入っています。
外観
近接用ウインドスクリーン
近接用ウィンドウスクリーンの外観です。ウィンドウスクリーン付け替え用のテープやマイクスタンドのねじ変換ナットなどが入っています。
スイッチカバープレート
マイク背面のスイッチ部分に取り付けるプレートです。
本体
本体の外観は下図です。光沢のないマットなブラックカラーでシンプルなデザインです。
スタンド取り付け部分です。
ウィンドウスクリーンはプラスチックのリングごとマイクから外す構造になっています。
ウィンドウスクリーンを外した状態です。
振動板(ダイアフラム)部分です。
背面部分です。左側のスイッチがバスロールアウトのスイッチです。スイッチを下げるとバスロールアウトが有効になり低音がカットされます。
右側のスイッチがプレゼンスブーストのスイッチです。スイッチを上げるとプレゼンスブーストが有効になり中音域が増幅されます。
スタンド用に向きを変える
工場出荷時はブーム取付用の設定になっており、ブームに取り付けた時にケーブルがブームの上を通せる位置になっています。
マイクスタンドに取り付ける場合は、コネクタの位置がスタンドの後ろになるようにマイクを反転させる必要があります。
側面のねじを外します。
ワッシャーを外します。ワッシャーは3枚入っています。真ん中にウェーブワッシャーが挟まれています。
両方のねじを外します。
マイク本体のねじ部分をスライドさせ、スタンド部分の切込みの間を通して外すことができます。
向きを変えて逆向きに取り付けて完成です。
マイクスタンドへの取り付け
マイクスタンドとの取り付けねじの変換ナットです。今回はこちらを利用します。
変換ナットをマイクのスタンド取り付け部分に入れます。
マイクスタンドに取り付けます。
K&M マイクスタンド 232Bのマイクスタンドに取り付けています。
なお、後述しますが、スタンドタイプのデスクトップスタンドでは若干の使いづらさがあるため、GATOR Frameworks のGFW-MIC-0821に交換しています。
使用感
重量
約770g(765.4g)あり、重量のあるマイクです。軽いマイクスタンドに取り付けるとマイクスタンドが倒れてしまうため、マイクスタンドは重量のあるマイクスタンドを利用したほうが良いかと思われます。
K&M マイクスタンド 232Bであれば、問題なく利用できましたので、デスクトップスタンドの場合は1kg以上のもの、ショートブームのマイクスタンドであれば、2kg以上のものを採用するのが良さそうです。また、ブームに取り付けて利用する場合、ブームが偏るとマイクの重みでブームが下がってくるため、反対側にカウンターウェイトを取り付ける必要があります。
ショックマウント、ポップガード
標準でショックマウントとポップガードが装備されたマイクのため、追加でショックマウントなどを用意しなくてもよいため扱いやすいです。
形状
特徴的な形状をしているため、背の低いテーブル用のマイクスタンドに取り付けた場合、XLRケーブルのコネクタがテーブルに当たってしまう場合があります。最低でもマイクのシャフト部分には10cm程度の高さが必要です。
ブームに取り付ける場合はマイク本体の重量のみに注意すれば、特に問題なく利用できます。
録音音質
感度の低いマイクのため、ノイズが少なく、良い音質で録音できます。ダイナミックマイクであるため、
キラキラ、とげとげした高音は感じられず、全体的にやわらかい音質になる印象です。そのため、中音域から低音域がやや強い印象があります。
ボイスの質によっては温かみのある音になる印象を感じられます。
キラキラした感じが無いため、サウンドの強い明瞭感や解像感は感じられないです。
落ち着いた感じのサウンドになることからも、ラジオ番組のパーソナリティのボイスや
ドキュメンタリー動画のナレーションボイスには非常によく合うと思います。
使用感
感度が低いマイクのため、周囲の音を拾いにくいのはメリットです。マイクをONにしたままキーボードやマウスの操作をしても音を拾いにくいです。
一方でしゃべる場合はマイクに近づく必要があるため、声だけのWebミーティングの場合は問題ありませんが、
映像付きのミーティングの場合はマイクが画面内に入ってしまうデメリットがあります。
大きめの金属製のポップガードや、ウインドスクリーンが標準で付属しており、ダイヤフラムまでの距離があるため、
マイクにかなり近づいてしゃべる使い方をするのが良さそうです。
Webミーティングでの利用
高性能なマイクのため、Webミーティングでも問題なく利用できますが、マイクとの距離を近づける必要があるため、
映像ありのWebミーティングの場合はマイクがカメラの映像内に入ってしまいます。マイクが画面内に入ってしまうことがよくない場合は、
マイクとの距離を開けられる、ガンマイクタイプのマイクを利用したほうが良いです。
SM7Bでもカメラアングルの調整やマイクの位置で画面に入らないようにできますが、
どうしてもマイクに近づいてしまうため、スライド資料ありの場合は気にしなくてよいと思いますが、
映像メインのWebミーティングの場合はガンマイクのほうが良いのかなという印象です。
ゲイン
UR22Cと接続して利用した場合、INPUTゲインを最大に設定しても、用途によっては、少し音声レベルが足りないと感じることがありました。
また、ゲインを最大に設定するとホワイトノイズが少しだけ発生して気になる場合もあります。
TASCAM iXZで利用する場合もゲインは最大に上げる必要がありますが、それでも若干レベルが足りないと感じる場面がありました。
UR22Cでゲインを最大にして、マイクに3cmから5cmの距離でしゃべる場合で-12dBからピークで-3dBを超える程度のレベルになります。
通常の録音であればこのレベルで問題ありませんが、リアルタイム配信などでもう少しピークのレベルを上げたい場合には増幅が必要になります。
このようなことから、SM7Bの入力信号を増強したい場合があります。信号を増強する方法としては以下があります。
また、
YAMAHA AG03と接続した場合では、ゲインを大きくすることで、比較的大きなレベルで入力できます。
ゲインを70-80%程度にして、アウトプットボリュームを大きくして利用すれば、CL-1は不要かと思います。ゲインを上げることでホワイトノイズが気になる場合に、CL-1の導入を考えるとよいかもしれません。
Cloud Microphones Cloudlifter CL-1
問題なく利用できます。詳細は
CL-1のレビューページを参照してください。
ゲインの調整はできませんが信号を25db増幅するため、UR22Cのゲインを最大まで上げなくても利用できます。またファンタム電源対応のため、電源線を別途用意する必要もないため配線はシンプルになります。
audio-technica AT-MA2
信号の増幅はできますが、AT-MA2はL,RのステレオLINE出力となるため、UR22Cに入力するのであれば、
INPUT1, INPUT2 に2本接続するか、L,Rどちらかを利用するかの方法があります。AT-MA2の電源供給はACアダプタであるため、若干配線や接続が煩雑になります。また、AT-MA2のゲインとUR22Cのゲイン両方を設定する必要もあります。
ソフトウェア処理でレベルを上げる
リアルタイム配信でなく、レコーディングの場合は録音データをソフトウェア処理でレベル上げする方法もあります。
その後の使用感
マイクの高さ
先ほど紹介した、K&M マイクスタンド 232B を利用して3か月ほど利用したところ、利用は問題なくできますが、マイクの高さが若干高いです。
デスクトップスタンドでK&M 232Bより高さの低いマイクスタンドは見つからなかったため、通常のスタンドマイクではなく、マイクアームを利用するか、
ブームを使用して逆向きにマイクを取り付けてマイクの高さを下げることにしました。
デスクトップスタンドでブームタイプのマイクスタンドを探したところ、GATOR FrameworksのGFW-MIC-0821が良さそうなので入手して取り付けました。
GFW-MIC-0821のレビューについては
こちらの記事を参照してください。
録音サンプル
UR22CのINPUTに接続して録音しています。Loop Back設定は無しでモノラル録音しています。UR22CのINPUTゲインは最大値(5時の位置)としています。
この録音サンプルはスマートフォン(iPhone)のスピーカーからの音声を録音していますが、実際に人がしゃべる場合はもう少し大きな音で録音される印象です。
マイクの出力の増幅はしていないため、若干レベルが低いと感じられるかもしれません。
著者
iPentec.com の代表。ハードウェア、サーバー投資、管理などを担当。
Office 365やデータベースの記事なども担当。